「グッド・ウィル・ハンティング(1997)」感想。哀しき天才を演じるマット・デイモン、彼の選択にあっぱれだ!

カ行
引用元 映画.com

アカデミー脚本賞受賞作。

見るのは公開当時以来、二回目。
記憶していた以上にいい映画だった。

吹き替え版で見たからかな。
字幕だとちょっと難しいんだよね、主人公が難しい事をまくしたてるから字を追うのに必死になる。



脚本を書いたのは今や大スター、当時は無名のマット・デイモンとベン・アフレック。
自ら脚本を書いて出演するというスタローンパターンです。

でもこの脚本、凄いです。
スタローンが自己を投影した「ロッキー」とは違うタイプ。


主人公のウィル・ハンティング(マット・デイモン)は素行の悪い天才なんだけど、その圧倒的な知識量を描くには、脚本家も同じ知識量を求められる。

ていうか、脚本にする以上、書いている事、その十倍以上は必要でしょう。

ハーバード在学中に書いたらしいけど、マット・デイモンって博識なんだなあと感心します。


あと、ウィルを更生させる心理学講師、ロビン・ウィリアムズ。
「いまを生きる」とはまた違った、寡黙ながら熱量を感じさせる役でこれも素晴らしい。


以下、ネタバレ含みます。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。

粗筋

スラム育ちの天才、ウィル(マット・デイモン)が心理学講師ショーン(ロビン・ウィリアムズ)と出会って更生し、自分の道を歩んでいく。


分析



冒頭三十分はウィルを執拗に描きます。

清掃バイトで暮らす生活環境、素行の悪さに反して、数学における天才性と全ての分野における圧倒的な知識量。
マサチューセッツ大学のランボー教授にその才能を見出されるが、まるで相手にしない。

そんなウィルを更生させるショーン(ロビン・ウィリアムズ)が出てくるのは、開始三十分過ぎです。

これ、ちょっと意外でした。
脚本には主要人物は冒頭十分で出せ、みたいな定石があるんだけど。

これ、見事にそうじゃないですね。
私が書いたら冒頭で出して、ウィルと少し絡ませてる。


でもショーンを出さない分、ウィルというキャラクターをじっくり紹介する事に成功している。

こうなると、主要人物をさっさと出せという定石も何故だろう?と疑問に思う。
ストーリーに集中しやすくなるとか、理由付けはそれなりにできるけど、正直に言うと、よくわからない。
定石を盲目的に使用するのは問題だな。
楽だからついそのまま使っちゃうんだけど。




物語の中盤、ランボーとショーンはウィルの処遇で衝突します。
ランボーは才能を生かせる最先端の研究所で働かせたいが、ショーンはまだ早いと言う。まだ更生の途中だと。

アインシュタインは世界を変えた、ウィルのように夜な夜な飲み歩いていたらそうはなっていない、早くその才能を発揮できる場に行くべきだと主張するランボー。

学生時代、数学の天才と謳われたテッド・カジンスキーは後に爆破犯になったと主張するショーン。

二人の意見は平行線。

終始、このような会話がこの作品ではあるんだけど、これって相当広い知識が必要。
脚本家でもなかった、当時一介の学生だったマットがこれを書いた。


羨望しかないよ、マット。



そしてウィルが自分を見出してくれたランボーに反発し、バカにするシーン。

ウィルが書いた公式に感心し、理解しようとするランボー。
すると「俺にとってはこんなのお遊びだ!」と、ウィルは公式の書いた紙を燃やします。

ランボーは大慌てで燃える紙を掴み、必死に火を消す。


この凡人と天才のどうしようもないコントラスト。



上手いです。

これを学生の時に書いただって? 白旗だよ、マット。



そして恋人とも別れ、建築現場で働き、わかりやすく落ちぶれるウィル。
そんなウィルに、一緒に働いている幼馴染みのチャッキー(ベン・アフレック)が言葉をかけます。



お前は一等の宝くじを持っている、だが換金しない。誰もが欲しがっているものを持っているのに。二十年後も俺たちと一緒にいたらぶっ殺す




これが真の友情。




さりげなく良いシーンでした。
青春映画が大好物の私にはたまりません。

「お前は俺たちとは違う」的なの、マジでいい。「スタンド・バイ・ミー」とかね。


本当にこれを学生の時に書いたの? もう許してくれ、マット。

私なんて専門学校時代、ジャームッシュの真似事みたいな自主映画撮って喜んでたよ。




そしてこの映画のクライマックス、ウィルとショーンが泣いて抱き合う名シーン。

伏線を上手く回収し、自分の道を進むウィルの姿で終わる。



余韻も素晴らしく、本当にいい映画でした。

美しく、沁みる台詞も多いです。
字を追うのが苦手な方は、吹き替え版での鑑賞をおすすめします。


以上です。だから私は感動しました。



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