デンゼル・ワシントンとアントワーン・フークア監督という「トレーニング・デイ」の黄金タッグ再び。
今作ではエンタメに大きく振り切っているのが魅力です。
アントワーン・フークア監督と言えば最近では「罪人たち」がアカデミー賞歴代最多ノミネートで話題になりました。
その高い演出力をエンタメに振り切るとここまで面白くなるのかと驚きますね。
そして何より、この映画の魅力はマッコールさんのキャラクター造形、そこに尽きる。
ここまでキャラクターで魅せるアクション映画は初めてじゃないか。もはや発明と言っていい。
以下、ネタバレ含みます。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
分析
元々は昔のテレビドラマのリメイクだそうで。
そのドラマ版の主人公と何処まで同じなのかはわからないんですが、この作品は主人公の造形が本当に凄いです。
もはやそれが全てと言っていい。
そのキャラクターを名優が演じる。演出するのは名監督。もう無敵ですよ。
主人公、ロバート・マッコールとはどのような男なのか?
その特徴を挙げてみます。
先ず序盤、ホームセンターで働く普通の男として見せつつ、時間に正確な、規則正しい生活をしている描写で始まります。
洗面所でのタオルの置き方、食事中のスプーンの置き場所などにも拘りが見える。
ここでもう、かなりの潔癖症、少し変人だとわかる。
更に読書家で、思慮深く、職場の同僚にはダイエットの助言をしたりと、人間としての厚みも見せる。
街で仲良くなった娼婦とも気軽に談笑し、人付き合いの良さも感じます。
変人だが良い人そう、という印象。
アクション映画って割と冒頭に派手なアクションシーンを入れて観客を引きずり込むのがパターンなんだけど、この映画ではマッコールの地味な描写に時間を費やします。
少し変、という感じが絶妙に出てて、飽きさせないのは名優と名監督の力。
そして仲良く談笑してた娼婦がある日、ロシアンマフィアにボコボコにされたのを知り、マッコールは彼女を自由にするため、マフィアたちをボコボコにするという王道展開。
この殺し方が見所です。
現場でマフィア数人を前に観察して、どう殺すかを瞬時にシミュレーション。
そして19秒で殺すと宣告し、見事な動きでその通りに殲滅します。
ここ、19秒と宣告しているのが良いアイデアですね。漫画的だけど、キャラの強さが更に際立ちます。
ちなみに公開時は賛否両論だったらしいんですが、否の意見はおそらくこの辺の漫画的な描写を指しているんでしょう。評論家ってリアルを求めますからね。
戦い方も自分の銃を乱射したりじゃなく、敵の銃を奪ったり、身の回りの物を利用して殺すのが非常に面白い。
ジェイソン・ボーンがこのような戦い方を既に披露していますが、やはり誰がやっても面白いものは面白い。
クライマックスではドリルやバーナー、更には感電死させたりとそのアイデア量に驚かされます。
ただ銃を乱射してヒャッホーのアクションじゃないのが最高ですね。
途中で刑事を拷問したりするんですが、そのやり方も車のガスを使ったりして、工夫が見られます。
更にですよ、強いだけじゃないんです、このマッコールは。
店で読書している時に、工事作業員に変装したマフィアが入ってくるんですが、綺麗な手を見て作業員じゃないと一瞬で見抜くその観察力。
家が襲撃される事を考慮して、あらかじめ自室に隠しカメラをあらゆる場所に設置している用意周到さ。
本物のプロだと思わせるこのような細かな描写、そのディテールのアイデア量が凄いんですよ。
殺し方にも一つ一つに工夫が見られます、ただの殺し屋映画とは全然違う、だからこそ、傑作になっている。
そして何故、身内でもない娼婦を命懸けで助けるのか?という元同僚の問いに彼は答えます。
力になれるから。
言ってみてえ…!
もはやストーリーなんてどうでもいいんですよ、マッコールさんだけで十分なんですよ、ついていきます!
以上です。だから私は感動しました。
見終わって買い物に出て帰ってきたら、玄関の鍵がかかってなかったんですよ。
誰かいる…?
闇バイトの少年たちかと、気分はマッコールさんで身構えて部屋に入りました。
誰もいませんでした。ええ、鍵をかけ忘れただけです。
それだけです。
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