「アンタッチャブル(1987)」感想。まるで少年漫画のような王道展開のギャング映画。デ・パルマが放った起死回生の代表作!

ア行
引用元 シネマトゥデイ

ブライアン・デ・パルマ監督の代表作。


ヒッチコックのフォロワーと評されて軽んじられる事もあったけど、この作品はヒッチコックの進化系と思わせるほどの完成度!


次々と見せ場が来るプロット、力強い演出とカメラワーク、役者陣の演技に全く目が離せない。



ネタバレ度70%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。

ネタバレしても面白さは微塵も揺るぎませんけども。




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粗筋

財務省のエリオット・ネス(ケビン・コスナー)は仲間を集め、シカゴを牛耳るギャングの大物、アル・カポネ(ロバート・デニーロ)に挑む。

分析

まず、冒頭から素晴らしい。


テンション上がるエンニオ・モリコーネの音楽とタイトル、そして俯瞰カットからのカポネの演説、十歳の少女が犠牲になる爆発といきなり作品世界に引きずり込まれる。


この段階で「あー、デ・パルマだなー」と思わせる独特のカメラワークもさすが。





今回見直して、あらためて見せ場に次ぐ見せ場、全く観客を飽きさせないプロットに驚いた。


個性的な仲間を集めて少数精鋭で巨悪に挑むという構図は少年漫画の王道展開。


これで実録ものなんだから凄い。


あのデ・パルマがこんなエンタメをよく撮ったなと思う。

まあ、作品が不振続きで藁にも縋る思いだったんだろうけど。


財務省からカポネ逮捕にやってくるエリオット。
二枚目で、新人警官に「結婚っていいよな」と語る愛妻家ぶり。

意気込んで犯行現場を襲撃するが、情報が筒抜けで見事に大失敗。


ここで観客はエリオットの味方になる。

この最悪の出だし、映画としてはラストの勝利でカタルシスを得るための、最高のスタートだ。





すっかり信用を失ったエリオットは仲間集めに取り掛かる。

街で出会った初老のパトロール警官、マローン(ショーン・コネリー)をスカウト。

この映画のショーン・コネリーはアカデミー助演男優賞を受賞しただけあって、登場から最期まで本当に素晴らしい。


スカウトに来たエリオットに対して、何故自分なんだ?と尋ねる。

「俺はこの年でパトロール警官だぞ」
「理由があるんだろ」
「ああ。この町で唯一腐ってない警官だからだ」


この台詞のやり取り、さりげなく上手い。
仲間になってからもシカゴを知り尽くした、経験を生かした助言を続け、チームを引っ張っていく。

台詞の一つ一つが重く、その揺るがない信念に痺れる。
素晴らしい指南役だ。

主人公のエリオットも更に魅力を増していく。
「既婚者はだめだ」と家族のいる者は仲間に誘わない姿勢も好感しか抱けない。


そして集まった仲間は三人。

初老のパトロール警官マローン、経理畑の小男ウォレス(チャールズ・マーティン・スミス)、血気盛んな新人で銃の天才ストーン(アンディ・ガルシア)。


何だこの、もはや漫画のようなキャラたち。

ビジュアル的な魅力も凄まじい。ナイスキャスト!




仲間が集まり、密輸現場に乗り込む中盤の見せ場。

国境付近の現場を何と騎馬隊で襲撃するというギャング映画らしからぬアクション。


馬に乗って四人が走る映像はまるで西部劇のような高揚感に溢れてる。
デ・パルマも新しいギャング映画を目指して、ジョン・フォードを意識したらしい。


このシーンでは初めて人を撃ち殺して苦しむエリオット、ショットガンを撃ちまくってトリガーハッピーになるウォレスなど、ただのアクションだけでは終わらない深みを感じる描写も多々見られる。


上手い。



この襲撃は大成功をおさめてエリオットたち、アンタッチャブルの名前が一気に売れるが、その瞬間からカポネの反撃が始まり、あっという間にウォレスが殺される。


打ちひしがれ、カポネ逮捕を諦めるエリオットを𠮟りつけ、鼓舞するマローン。


そのマローンもカポネの餌食に。

だがマローンはカポネ逮捕に繋がる重要な情報をエリオットに残し、絶命する。




熱いぜ。



このマローンが襲われるシーンの長回し、カメラワークは臨場感あってゾクゾクします。


ショーン・コネリーの名演もあって一瞬たりとも目が離せない。


凄いよデ・パルマ。



そしてクライマックスの有名な、駅での階段アクションになるんですが、ここで重要な証人を捕える事に成功。

証人は裁判でカポネの犯行を証言します。


はい、ここで普通は終わる。


だが、この映画は終わらない。


高層ビルを縫って殺し屋(白いスーツが映えるビリー・ドラゴ)とエリオットの対決、買収された陪審員をどうするか?というこれでもかの展開。


結果、全てが見事に収斂していく過程、脚本の冴えにこちらは唸るのみですよ。



そして今見るとキャストはスター揃いだけど、当時は違う。


不振に苦しんでいたデ・パルマ、007以降パッとしなかったショーン・コネリー、当時ほぼ無名のケビン・コスナー、アンディ・ガルシアなど、それぞれの執念が画面からにじみ出ている。



そしてカポネを演じたデニーロ。
当初は高額なギャラがネックでスタジオは大反対したらしいけど、デ・パルマの嘆願でキャスティング。

髪を剃り、ボディスーツを付けて迫力満点。

出演シーンは少ないのに圧倒的な重厚感。

素晴らしいカポネだ。




演出、演技、脚本、撮影、衣装、音楽、一分の隙もありません。


以上です。だから私は感動しました。


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