「ニキータ(1990)」感想。ベッソン全盛期の傑作。脚本家としても一流だ!

ナ行
引用元 safari

リュック・ベッソン監督の「レオン」と並ぶ代表作。

やはりこの時期のベッソンの映像センスは凄まじい。


「レオン」以降は正直なところ、特別好きな作品は無いんだけど、「レオン」以前の才能の煌めきは眩しいほどだ。

そして脚本家としても一流である事をこの「ニキータ」は教えてくれる。

ネタバレ度0%。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。

でもオーソドックスなプロットだから、読んで見ても面白いと思います。



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粗筋

警官殺しの罪を犯したニキータ(アンヌ・パリロー)は、逮捕後に素性を消され、政府御用達の殺し屋として生まれ変わる。

分析


何より素晴らしいのはニキータのキャラ造形。

弱さと凶暴さを併せ持ち、殺し屋になってからも感情の起伏が激しく、泣き喚く。
感情の赴くまま、自由奔放。

かなり幅のある役柄をアンヌ・パリローが見事に演じている。

ビジュアル的にもミニのワンピや下着姿で殺しをして、画的な魅力も抜群。


公開当時、こんなスタイリッシュな女殺し屋は新鮮であり、発明だった。

ベッソンが作り出した「ニキータ」は多くのフォロワーを生んで、今や女殺し屋の雛形。

ハリウッドではリメイクされ、ドラマシリーズも。

この点だけでもベッソンは偉大です。


プロットの展開も秀逸だ。


ニキータが初デートと思って出かけると、その先で初の殺しを指示された挙句、大ピンチに。
笑顔が一転、泣き顔に変わる。


婚約のお祝いで旅行券を貰って出かけ、さあ、セックスだと盛り上がってるところ、仕事の指令が入る。
この折には一瞬で笑顔が消えて、仕事モードに。


ニキータの表情が変わるたび、観客も感情を揺さぶられる。
中だるみを絶対に許さないこの展開、ベタながらもやはり上手い。

映像センスだけに頼らない、ベッソンの練られた脚本作りに感心する。




そしてニキータの恋人となる一般人、ジャン=ユーグ・アングラードの存在がポイント。

殺し屋としてのニキータだけじゃなく、女としてのニキータの顔を見せる事で、作品に奥行きを与えている。
更には彼に正体がばれないように殺しを遂行するため、サスペンスの緊張感が増している。


今回見直してみて、このキャラ配置の上手さに唸った。

初見の時は前半の訓練のシーンが印象的だったんだけど、後半も素晴らしい出来だ。




ラストはビターな感じで終わる。
ここは好みが分かれそう。
クライマックスではニキータ、ほとんど活躍しないからね。

クライマックスを「レオン」のような派手なガンアクションで終われば、この「ニキータ」の評価はもっと上がったと思う。
でもやはりフランス映画らしさがあって、これはこれでいいけども。



以上です。だから私は感動しました。




ベッソンは「レオン」以降、自分の性癖をあまり出さなくなって、個性が薄まった気がする。


エンタメ指向になっていったためだろうけど、アンヌ・パリローやジャン・レノのようにベッソンをよく知る人たちに囲まれて、もう一度好き勝手に撮ってほしいな。


おすすめリュック・ベッソン監督作品

〇「グランブルー」
ダイバーたちを描いた、映像の美しさに息をのむベッソン初期の傑作。
フランスでの大ヒットを受けて、色んなバージョンがあります。


〇「レオン」
もはや説明不用のアクション映画の傑作。
ナタリー・ポートマン演じるマチルダとジャン・レノ演じるレオンのコンビは映画的魅力に満ちている。



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