「ターミネーター2(1991)」感想。1を超えた続編の代名詞、SFアクション映画の金字塔!

タ行
引用元 映画.COM




1を超えた2として、必ずあがる屈指の名作。

低予算臭のある1から大きくパワーアップ。


圧倒的なアクションと共に感動的なストーリーで「まさかターミネーターで泣くなんて!」と多くの観客の度肝を抜いた。




久しぶりに見たらやはり最高でした。

今回は153分の特別編を観賞。劇場版は137分なので、15分ほどシーンが追加されています。

私はあまり後発のディレクターズカット版とかは好きじゃないのですが(ファンサービスだと思ってます)、この「ターミネーター2」は劇場版しか見ていなかったのでこの機会に。


特別編では1の主役の一人、マイケル・ビーンが数カット出てきます、ファンとしては嬉しいところですね。


ネタバレ度80%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。


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分析



続編の名手と言われるジェームズ・キャメロン監督。

やはり「ターミネーター」と「エイリアン」というSF二大傑作の続編を成功させた事が大きい。




その成功の理由はキャメロン監督自身が語っています。

「魅力的な新たなテーマを見つけたから続編に踏み切った」と。


そうなんだよね、1が成功したので続編を制作するというパターンは星の数ほどある。しかしそのほとんどが1を超える事は無い。


それはひとえに、1の成功体験が忘れられなくて、1と同じ事をしてしまうから。

予算を増やして、見た目をパワーアップさせた時点で満足してしまう事が多いから。


だが、それでは1を超える事は無い。


新たな魅力的なテーマを見つける事、これが何より重要かと。


そして今作では「少年とターミネーターの友情」という1とは全く違うテーマを持ってきている事が白眉。


まず、この発見が凄いんですよ、発明なんですよ。



思えば「エイリアン2」はキャッチコピーから「こんどは戦争だ!」と1との違いをアピールしていた。

1、2共にアカデミー作品賞を受賞した「ゴッドファーザー」なんかでもそうですね。



ここがわかっているキャメロン監督、やはり偉大。

「アバター」について話すのは今回はやめておこう。






では、内容について。

映画序盤、未来からやってくるシュワちゃんとロバート・パトリック。

シュワちゃんは1をなぞるように、街中で酔客を襲って服とバイク、銃を強奪。

片やロバート・パトリックは警官の服を奪取。


これ、初見だと、シャワちゃんが悪役に見える導入です。

1で命懸けでリンダ・ハミルトンを守ったマイケル・ビーンのポジションがロバート・パトリックなのかと観客は思うでしょう。


実際は逆なんです、序盤からこのミスリード、上手いです。


まあ、公開前に方針転換して、「今回はシュワちゃんが味方」と大きく宣伝したらしいんだけど。





そしてリンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーが精神病院に収監されているんですが、この設定が上手い。

普通、続編と聞いて、ほとんどの観客はリンダ・ハミルトンが前作でこしらえたマイケル・ビーンとの息子と一緒に暮らしているはずだと想像してますよ。


それが息子と離れて一人、精神病院に監禁されているという現状に「一体、何故!?」と観客は一気に惹き込まれる。


また、序盤からリンダ・ハミルトンの鬼気迫る熱演が凄いです、圧倒的な説得力を放ちます。


息子のジョン・コナーを演じるエドワード・ファーロングも母親を「妄想ばかりの廃人」と友人に語っており、事情を知る観客は全員、もうリンダの味方。

この辺りの掴みは本当に上手いです。

キャメロンが脚本家としても超一流なのが既に分かる。








そしてこの人物、設定の紹介が終わると、エドワード・ファーロングに襲い掛かるロバート・パトリック、守るシュワちゃん、いきなりアクションの見せ場です。




ここで新型ターミネーター、ロバート・パトリックの性能、その映像表現に驚愕させられる。それは今見てもだ。

液体金属でできており、人や物に変身できるというのが何より魅力。

これは「遊星からの物体X」や「ボディ・スナッチャーズ」で使われてきた定番設定なんですけど、やはり最高。




エドワード・ファーロングとシュワちゃんはロバート・パトリックから何とか逃げきります。

ここから再び1のような逃亡劇が繰り返されるのかと思いきや、さすがキャメロン、この2は違いました。


エドワード・ファーロングは母親のリンダ・ハミルトンを助けにシュワちゃんを連れて精神病院に向かいます。

ここ、映画全般、受けじゃなく、能動的に主人公が動いているのがミソ。

ターミネーターからひたすら逃げ続ける、ホラー味ある前作から、目的を持って戦うアクション映画として見事に脱皮しています。


この精神病院でのターミネーター対決が前半の見せ場。問答無用、大興奮ですよ!





そしてロバート・パトリックから逃れて、久しぶりに再会した親子のドラマを展開。

自分を助けに来たエドワード・ファーロングに対して、「私のために無茶はしないで」と思わず叱ってしまうリンダ・ハミルトン。
喜びの再会を願っていたエドワード・ファーロングは涙を零す。
彼の様子を見て、「目をどうした?」と尋ねるシュワちゃん。

ここ、三人の関係性、性格を僅かなやり取りで見せる、素晴らしい掛け合いです。




そして映画中盤はエドワード・ファーロングとシュワちゃん、少年とターミネーターの交流を見せます。

ターミネーターに人間のルール、感情を教えていく少年。



ここがキャメロン監督がこの続編で描きたかった新たなテーマ。

映画でもちょっとホッとできる魅力的なシーンが続きます。

シュワちゃんのロボット演技、ぎこちなく表情や感情を学んでいく様子がいい。






そしてリンダ・ハミルトンは全ての元凶、スカイネットの創始者であるダイソン殺害を目論み、単身、彼の家に向かいます。

その意図を知ったエドワード・ファーロングとシュワちゃんがリンダを追う。



結果、リンダ・ハミルトンはダイソンを襲うが、その命まではとらない。ここ、リンダのキャラ、その葛藤が見えて魅力的。



そしてダイソンを連れて一同、未来を変えるためにサイバーダイン社に乗り込むクライマックスへ突入します。

ここからは警察、ロバート・パトリックを相手にアクションのつるべ打ち。

当時としては相当な火力です、文句なしの面白さ。





工場内でのシュワちゃんとロバート・パトリックの対決では、やはり旧式の悲しさか、シュワちゃん、やられてしまいます。


頼みのシュワちゃんは去り、ロバート・パトリックに追われ、絶体絶命のエドワード・ファーロングとリンダ・ハミルトン。

「もう無理だ、やられる!」と何度も心の中で絶叫ですよ。「こんなの、人間が勝てるわけない!」と。




その絶望の中、やられて静止していたシュワちゃんの補助パワーが始動した瞬間の興奮よ。


彼の目が赤く点灯した時、私たちの大好物、少年ジャンプ的な熱さに体温が上がります。


再び二人の元に現れ、ロバート・パトリックを倒すシュワちゃん。


二転三転したこの対決も終わりです。いやあ、素晴らしいラストでした。









だが待て。まだ終わらないんだ。







シュワちゃんは自分が存在してはいけないと説明し、二人に別れを告げます。



もはやシュワちゃんはエドワード・ファーロングにとって友人、そして父親の代わりでもある。

受け入れがたく、涙を流すエド。

そのエドに対して、「泣く気持ちが分かった」と答えるシュワちゃん。



そして自ら溶鉱炉に沈んでいく伝説のラストカットですよ! あのサムズアップですよ!


まさか、SFでこんなに感動するなんて。泣かされるなんて。


新たなテーマを見事なストーリーに昇華させたこのラスト、この映画が不朽の名作になった瞬間です。



リンダ・ハミルトンのモノローグ、「機械が命の価値を学べるなら、我々も学べるはずだ」が心に響く。





更にですよ、とどめとばかり、エンドロールで流れるのは当時絶大な人気を誇ったガンズアンドローゼス、その名曲「ユー・クッド・ビー・マイン」。



アクセルのボーカル! スラッシュのギター! 脳が痺れる!



ああ、至高が過ぎる。






ありがとう、キャメロン。



以上です。だから私は感動しました。






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