アカデミー作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞の主要四部門を受賞した名作です。
映画ファンになった頃に映画館に見に行った作品として、印象深い。
しかしその頃はまだ若い青二才、良さがよく分からなかった覚えがある。
ラストも「あれ? これで終わり?」みたいな。
それから何度も見直して、今やかなりお気に入り。
映画ファンになるとダスティン・ホフマンとトム・クルーズの並びだけで感慨深い。
ネタバレ度80%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
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粗筋
チャーリー(トム・クルーズ)は父親の遺産が全く入らない事に激高。
調べてみると、自分に自閉症の兄、レイモンド(ダスティン・ホフマン)がいる事を知る。
チャーリーは遺産の半分は自分のものと主張し、レイモンドをさらう。
分析
粗筋だけ読むと、トム・クルーズの役はかなり性格が悪いと感じると思います。
そして実際、悪い。
観客が嫌悪感を示すぎりぎり手前、何とかセーフという絶妙な按配で助かってるんですが、これはやはりトムのハンサムぶりのおかげか。
でも年齢を重ねて見直すごとに、序盤のトムがどんどん嫌いになるな。
自己中なハンサムっているんですよねえ、しかも何故かそんな奴に限って、性格の良い可愛い女の子が横にいる。
挙句、自分の彼女さえ、そいつの話ばかりしてくるという。
この映画のチャーリーもそんなタイプの二枚目。
このじわじわ沸き上がる嫌悪感を感じさせるのは、トムの演技の賜物でもある。
この映画、芝居モンスターのダスティン・ホフマンだけではない。
トム・クルーズも既に凄い。
映画はこの時期流行っていたロードムービーの形をとっている。
前半はレイモンドに振り回されるチャーリーを楽しむ見方が正解だろう。
私も自閉症をこの映画で初めて知ったと思うけど、ダスティン・ホフマンの演技はやはり凄い。
ただ、私的には前半がちょっと長いと感じる。
この作品が本当に面白くなるのは後半、レイモンドの異常な記憶力を利用して、この兄弟がカジノで大勝するところからです。
まあ、これが何と映画開始80分過ぎなんだけど。
そこでやっとチャーリーはレイモンドを認め、尊敬し、「兄貴」と呼ぶようになる。
この辺はやはり現金なチャーリー。
それからしっかりとレイモンドと向き合い、ダンスを教え、ドライブをする。
このあたりの兄弟愛が芽生えていく流れは美しい。
そして一緒に暮らす夢が破れ、レイモンドと別れるラストシーンへ。
電車に乗るレイモンドを見送るチャーリー。
感傷にひたるチャーリーと、席に座って一瞥もくれないレイモンド。
ここ! ここがいいんですよ!
「あれ? これで終わり?」とか思った初見の頃の若かりし俺を殴りに行きたい。
歳を重ねればわかる、このラストの素晴らしさが。
よくTVドラマなんかだと、レイモンドが感情を表したり、わざとらしく涙を流させたりするんですよ。
だがこの映画は違う。
巨匠、バリー・レヴィンソンは違うんです!
安易なお涙頂戴に走らないこのリアリズムがこの作品を本物の名作にしています。
あと、この頃はまだ無名だったハンス・ジマーの音楽がとても印象的。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」の音楽で有名だけど。
この頃から既に巨匠の風格。さすがです。
以上です。だから私は感動しました。
ちなみに序盤、チャーリーの横暴な振る舞いからレイモンドを守るスザンナ(ヴァレリア・ゴリノ)が魅力的。
何でこんな素敵な子がチャーリーの恋人なのか。
トムだからか。面食いか。
デートをすっぽかされたレイモンドとダンスを踊ってやり、優しくキスしてくれます。
わざわざエレベーターを止めて。
二人きりの密室で。
レイモンドに本気で嫉妬する私がいました。
この女性、コンプレックスのある男はみんな恋に落ちるはず。
スザンナ、エレベーターで待ってます。
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