「天気の子(2019)」感想。愛する二人は世界を救わない!これはあの「卒業」以来の衝撃作だ!

邦画

やはりとんでもない映画だ。



大ヒット作品だけど、正直、この作品を好きじゃない人も結構いるんじゃなかろうか。


もちろん、作画は超絶美しい。

特に雨の描写が印象に残る。

キャラクターもいい人ばかりで、嫌う要素は一つも無い。

しかし、見終わって無性にゾワゾワするこの感じ。
映画館で見た時も消化不良の感じが残っていて、一度ちゃんと見直そうと思っていた。

今回はそのゾワゾワに迫りたい。


ネタバレ度80%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。




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粗筋

雨が降り続ける異常気象の東京で、森嶋帆高(ほだか)は100%晴れ女の天野陽菜に出会う。

陽菜は人柱であり、彼女が犠牲になればこの天気は正常化するという。

陽菜が選んだ選択とは?

分析


雨の降り続ける東京で、100%の晴れ女がヒロイン。


これ、設定はとても良いと思う。
なかなか独創的。


主人公の帆高とヒロインの陽菜が出会い、晴れを呼ぶバイトを始めて大成功。

ここまでが前半。
うん、いい感じに進む。

しかし中盤のミッドポイントに何を持ってくるのかは気になるところ。



そして、それがなかなか凄い。

陽菜は人柱であり、彼女が犠牲になればこの世界の天気は元に戻るという。


なるほど…。
なかなかスケールの大きい話になってきたな。



彼女が犠牲になるなんて許さない帆高。

うん、まあ、惚れちゃってるしね。

しかし彼女は人柱になる事を選ぶ。
この世界を守るために。


なるほど…。
泣けるラストを持ってくるつもりだな。

ありがとう陽菜、僕たちのために世界を守ってくれて! 









…というラストには、ならないんですよ!





帆高は世界を正すよりも、陽菜を救うために奔走する。


そして見事、彼女を救出。


世界は晴れの無い、雨だけの世界になり、映画は終わります。


引用元 映画.com









…正気か?




二人が付き合うためなら、世界はどうなってもいいの?と映画館で唖然としたのだが、今回もやはり考えさせられた。

いや、独創的ではあるけども。
良い話っぽく終わるけども。


あえて聞きたい。


これでみんな、感動できたの?



愛する二人のためなら、他人の不幸なんて、世界なんて気にしない。


そんなテーマを描いたのはあのクレイジー青春映画「卒業」だけだ。


新海監督はあの「卒業」と同じクレイジー映画の道を選んだのか。

それこそが青春なんだと言われればそれまでだが。


そして確かに私はその無責任さと狂気を描いた「卒業」が大好きでもある。





しかしこの作品は「卒業」とはちょっと違う。
「卒業」はあの二人によって不幸にされた人たちをちゃんと描いた。
そしてあの二人の未来さえも不幸になる可能性を示唆して終わった。


この作品はこの選択を「美しいもの」として描き過ぎな気がする。

「気がする」と言うのは、私の中でまだ消化できていないからだけど。





更に疑問を呈すと、色々と抽象的過ぎると思うんだよね。


陽菜が人柱になるのを帆高はどうやって助けるのか?

ここ、会えば解決するみたいなのりだけど、もう少し具体的な説明が必要では?


何か映像の迫力、勢いででごまかされた感がある。


だがその勢いが凄まじいのも確か。

映画.com

もはや空飛んでるし。



ここで色々と理由付けを求める事自体がナンセンスというか、野暮なんじゃないかとも思ったりする。

そう、それこそが、私が年をとってしまったという事なんじゃないかとも。


二十歳の頃の私なら、この二人に喝采を送っていたのかもしれない。


ある種、踏み絵というか、モスキート音的な、恐ろしい映画だ。

今もどう評価していいのかよくわからない。
だけど、そんな作品があっていいと思うし、あの大ヒット作品「君の名は」の次、プレッシャーのかかるここに持ってきた事に驚く。


以上です。だから私は感動しました。




ちなみに、こういった、ちゃんと見直して検証したいと思っているアニメ映画があと一本ある。


そう、あの、楽しみに映画館に入った子供が泣いて出てきたという、衝撃の作品。




「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」



久しぶりにこのタイトルを見て震えた人、いるんじゃない?


もう一度見るのは怖いよ。でも、見たいよ。

作り手と受け手の凄まじいすれ違い。
あの衝撃をもう一度!



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