「ニュー・シネマ・パラダイス(1988)」感想。上京して地元に全然帰らないけど、いまだ私は何者にもなれてないよアルフレード!

ナ行
引用元 映画.com

数年おきに何度も見てる。

言わずもがなの名作。



人間賛歌の最高峰。




三時間近い完全版も見た事あるけど、そちらは中年トトのドラマパートが追加されている。
イタリアで最初に上映された時はこの完全版に近かったそうな。

それが不評で中年トトのドラマパートはばっさり。

それがこの作品をトトの物語から、トトとアルフレードの友情、そして映画館ニュー・シネマ・パラダイスを巡る人間たちの群像劇に生まれ変わらせた。


大成功が過ぎる。


ネタバレ度80%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。



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粗筋

映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)と、少年から青年に成長するトト、二人の友情物語。

分析

上に書いたように、ジュゼッペ・トルナトーレ監督が当初考えていたものからばっさり切っているので、構成は結構いびつ。

前半一時間はアルフレードと少年トトのパート。

後半は青年トトの恋、アルフレードとの別れ。

クライマックスは帰郷した中年トトの郷愁、そして誰もが知る感動のラストシーンへという流れ。


おそらくトルナトーレ監督は少年、青年、中年と三つのパートを綺麗に分けたかったんだろう。
しかし魅力的なシーンを残していったら、少年トトがかなりの部分を占めた感じ。

それほどこの少年トトとアルフレードのシーンは魅力的だ。
子役の可愛さが反則的。


そしてよく見るとこの前半パート、プロットの出来も良い。

アルフレードに自分も技師をさせてくれと頼むトト。
アルフレードははねつけて、二人の仲は険悪になる。

そして小学校見学に現れるアルフレード。
子供たちと一緒にテストを受けると、答えが全くわからない。
そこで近くに座っているトトにカンニングさせろと頼む。
トトは技師の手伝いをさせてもらう約束をして、答えを教える。

そしてトトが映写技師の技術を学んだ直後、映画館が火事になり、アルフレードは盲目に。
トトは新たな映画館ニュー・シネマ・パラダイスの映写技師になる。

自然で、綺麗な流れだ。
前半はエピソードが散らばってるイメージだったけど、よく見ると、プロットもしっかりしてた。
この点、広くヒットした要因でもあると思う。



引用元 映画.com



しかし実はこの作品の魅力はプロットではない。

このプロットの合間に挟まれる人間模様だ。


特に、昔はこんな人いたなー、と感じさせる人たちがたくさん出てくる。
「ここは俺の広場だ!」とただ叫んで回る男とか。
いたね、昭和の時代はこんなの何処にでも。


色んな個性的な人物が出てきて、全てがリアルに、ユーモアをもって描かれている。

そして大事なのは、この市井の人々の描写が無ければ、クライマックスの中年トトの帰郷はあれほど感動的にはならなかっただろうという事。

つまり、全てはラストの感動に向けての、伏線とも言える。


そしてこのあたりの人物描写の見事さは脚本家の力量としか言いようがない。
当時、まだ三十歳そこらのジュゼッペ・トルナトーレ、あんた、ばけもんだよ。




中盤の青年トトの恋愛もいい。
初見の時、好きな女性ができたら家の外に毎晩立てばいいんだと、本気で思った(実践しなくて良かった!)




更には後半に向けて、凄みを増す深みのある台詞の数々。


青年トトに村を出るよう、すすめるアルフレード。


「村を出ろ。長い年月帰ってくるな」
「帰ってきてもお前とは会わん。お前の噂を聞きたい」

トトの可能性を信じたアルフレード、その背中を押す台詞が素晴らしい。
このアルフレードの気持ち、若い時はいまいちわからなかったのよね。



そして三十年ぶりに会ったトトと母の会話。

「お前に電話するといつも違う女性が出る。でもお前を心から愛している声をまだ聞いていない。お前が誰かを愛して、落ち着いてくれれば嬉しいわ」


どうゆう事?
こんな台詞、何で三十歳ぐらいの若さで書けるの? 
おかしいってトルナトーレ。
あんた、何かやってんじゃないの。

そして有名なあのラストシーン。
フィルムはアルフレードの形見と言われてるけど、あれはトトのものです。
映画の冒頭、アルフレードはトトにフィルムをやるとはっきり言っている。

それを死んだ今、トトに返した。
アフルレードの誠実さが胸を打つ。


そのラスト、トトがアルフレードと過ごした日々が、観客の私たちの脳裏にも波のように押し寄せます。

ここはね、やはり実生活でリアルに郷愁を感じた事のある人間ほど、感動せずにはいられない。


はっきり言って、初見の時はまだ私も幼稚だった。
映画館で見て感動したふりをしたけど、内心、そんなに感動するラストかなあ、というのが率直な印象だった。

しかし今や見る度に号泣してます。そりゃもうブサイクに。


最後に絶対に書いておかなくてはいけない。
巨匠、エンニオ・モリコーネのあの音楽ね。

あれは泣くよ。ずるいってあの旋律。

以上です。だから私は感動しました。




この作品の影響か、私も田舎を捨て、上京した。

それから十数年後、父親が手術を受けるという知らせを受けて、久しぶりに帰郷した。

地元を歩くとやはりノスタルジーを感じた。

そして私はサプライズな意味も含めて、何も知らせず、病院の父に会いに行った。

久しぶりに見た父は想像よりも小さかった。

近付き、「どうよ、調子は?」と尋ねた。

父親はキョトンとしていた。

「俺だよ、○○だよ、あんたの息子だよ!」

「(ハッとして)ああ!」

何でやねん、いや、そりゃ確かに老けたけども。

私が地元を忘れる前に、父は私を忘れていた。




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