タイムループを題材にしたSF作品。
「アバウト・タイム」「恋はデジャブ」など、タイムリープを題材にした傑作は他にもあるけれど、この作品がマイベスト。
とにかく切ないラストが有名で、初見の時は感動のあまり暫く動けなかった。
作品としてはこの珠玉のラストを見るためだけに二時間あると言っていい。
作りとしては若干B級映画のノリで安っぽい描写も目立つ。
ラストに至るまでに特別胸を打つシーンも無い。
それでも一見の価値ありの傑作です。
ネタバレ度30%。
未見の方はDVDで! この記事を書いている2022年8月現在、動画配信はありません。
ラストに関しては書いていません。読んでから見ても大丈夫ですよ。
粗筋
エヴァンは過去に戻る能力を得る。
そこで幼馴染みのエイミーを幸せにするべく、何度も過去に戻って人生を修正するが…。
分析
少年エヴァンは何か嫌な事がある度に、意識を失くす。
エヴァンは青年になると、その時の失われた記憶が徐々に戻ってくる。
これはエヴァンが失われた記憶を取り戻していく物語。
に見えて、実はそうではない。
記憶を取り戻すため、エヴァンは幼馴染みのケイリーに数年ぶりに会いに行く。
直後、ケイリーは自分の不遇を呪い、自殺する。
これが開始45分。
その直後、エヴァンはタイムリープの能力を得て、ケイリ―を救うために過去の改変を始めるんだけど、実はここまで何の映画かよくわからない。
ここまでが全て前フリ。
ここが長ければ長いほど、おそらくは製作段階で色々と周囲から文句を言われる。
早くストーリーを始めろと。
この作品が凄いのは、あえてこの前フリにしっかりと時間をとっているところ。
ちょっと題材が違うけど、「カメラを止めるな」とかもそう。
でもそのために、B級っぽさが出てしまうのも確か。
この「バタフライ・エフェクト」」も何処かB級臭がするのはそれも理由の一つだろう。
中盤、エヴァンが現在と過去を行き来して、何度も人生の修正を試みる。
が、どんな選択をしても上手くいかない。
ここで選択がどんどん狭まっていく事でクライマックスを作り上げていくという、他の映画ではなかなか無い構成。
タイムリープものの宿命なんだけど、ここで盛り上げていくのが一番難しい。
観客としてはどうしてもまたやり直すんでしょ?と思っちゃって、緊張感が弱いんだよね。
それでもこの映画はかなり上手い。
伏線をどんどん回収していくやり方で飽きさせないのと同時に、タイムリープする度に事態が悲惨になっていく事で緊張感を高めてる。
ついにはエヴァンは腕の無い障害者になり、自殺を図るまでになる。
この絶望から、もう一度タイムリープに挑むまで。
その流れはエヴァンが愛する母親を使う事で非常にスムーズ。
そして彼が幸せを求めて最後に選んだ選択は?というラスト。
言わないけど、ここがいいのよ。
起承転結とか、三幕構成とか、こじつければあてはめる事は可能だろうけど、その手のマニュアルとは一線を画す構成。
現在と過去を行き来するワンパターンを、手を変え品を変え見せていく。
アイデア勝負なんだけど、やっぱり上手い。
そして、この手の作品ってラストで作品の評価が大きく変わる。
タイムリープものは数多くあるけれど、感動を呼ぶラストが作れるかどうか。
でもそれって簡単に作れるものじゃない。
タイムリープに真正面から向き合った作品で、私が気に入っているのはこれと「シュタインズゲート」だけだ。アニメだけど。
その点において、この作品のラストは至高の出来。
最高に切ないハッピーエンド。
こんな感情を味わえるのはこの映画だけです。
以上です。だから私は感動しました。
しかしいいよね、タイムリープ。
誰しも変えたい過去が一つか二つ、あるだろう。
私はね、100はあるよ。
でも変わった先でまたやらかすけども。
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