「希望」の物語です。
とりあえず映画について語る前に。
私なら「おネエ」にお尻をホラれ続ける最初の二年で廃人になってます。
絶望しかない。
頑張ったなティム・ロビンスと言わずにはいられない。
おネエ。
ティム・ロビンスのお尻を二年間執拗に追い続けるという凄いインパクト。
演技とわかっていても怖い。まじでホラー。
この役者さんともし会ったら、自然とお尻がキュッと締まるだろう。
大丈夫なのか、この人。リアルの人生は。
この作品、公開当時はそんなに話題になりませんでした。
レンタルになっても「店員おすすめ」のPOPが貼られ、映画ファンなら見ておこうぐらいの知名度だった気がする。
それが年月が経つうちに事ある毎に作品の名前を聞くように。
今の若い映画ファンで「思い出の作品」みたいなアンケートを取ったら、おそらくこれが一位になるだろう。
ナレーション中心にストーリーが進行するので、普段あまり映画を見ない人でもわかりやすく、非常に間口が広い。
そしてクライマックスの鮮やかな伏線回収は意識高めの映画ファンをも唸らせる。
やはり凄い映画です。
ネタバレ度80%
未見の方はDVDか配信で!ネタバレ上等な方はお進みください。
でもさすがにこれはみんな見てるか。
この記事を書いている2023年12月現在、U-NEXTでは見放題配信されています。
DVDで観賞したい方は私も利用している宅配レンタルがお勧めです。
粗筋
妻殺しの罪で刑務所に入るアンディー(ティム・ロビンス)。
刑務所で辛い毎日を送りながら、希望を捨てず、自由を求めて生きていく。
分析
まず、色んな作品紹介でアンディーが無実の罪で収監されたとあるが、これは完全にネタバレですね。
アンディーが無実だとわかるのはクライマックス直前、トニーの証言が出てからでしょう。
アンディーが有罪なのか、無罪なのかはストーリーを引っ張る要素の一つ。
何処にでも書いてあるからここでも書くけど、ネタバレが嫌いな人には辛いところです。
無罪か有罪かわからないからこそ、前半にアンディーの人柄をちゃんと描く必要がある。
まず、同じ日に収監されたデブが恐怖に耐えきれず死にます。
いつもの事だと他の囚人たちは気にしないけど、アンディーだけはデブの名前を尋ねる。
ここ、アンディーの優しい人柄をサラッと表現してます。
上手いキャラクター紹介です。
やがてアンディーは会計の知識で刑務官たちに認められていきます。
そこで仕事の見返りに仲間たちにビールを提供するよう、要望します。
この要望は認められて仲間のレッド(モーガン・フリーマン)たちはビールにありつけるんですが、アンディー自身は飲まない。
事件直後から酒をやめているんです。
アンディー、良い人。
私的には目の前にビールがあって飲まないなんて信じられません。
しかも汗をかいた労働直後ですよ?
アンディー、鋼の意思です。
ここでもう、観客で悪い印象を持っている人は皆無になります。
中盤はアンディーが刑務官たちの節税対策、資産形成の相談を受け、自分の居場所を確立していく様子を描きます。
この中盤、仮釈放を怖れるブルックスのエピソードが挿入されます。
50年も刑務所にいたため、シャバに出るのが怖い。
そしてブルックスは仮釈放後、シャバでの生活にたえられず、自殺します。
「不安だから死ぬ事にした」と。
囚人たちの独特の価値観を見せる深いエピソード。
作品に奥行きを与えてる。
その後、トニーが入所してくる。
彼の証言から、アンディーが実は無罪であり、他に犯人がいる事が発覚します。
しかし裏金の管理を任せている刑務所所長はアンディーを手放しません。
ここから急転直下のクライマックス。
ネタバレになります注意!
無実の証明ができないと悟ったアンディーは刑務所を脱獄します。
二十年かけた周到な計画で。
正直なところ、ここまでは普通レベルのドラマなんですよ。
みんなの思い出のベスト1に選ばれるようなレベルにはない。
この映画の凄さはここからです。
脱獄計画の鮮やかさ。
脱獄を成功させるのはもちろん、それで終わりじゃなく、その後の生活の糧、悪党である所長への処罰までも見事な鮮やかさで完遂します。
そこに至るまでの伏線もとても自然で、「あの時のあれが!」という驚きが続く。
演出もしっかりしてる。
脱獄したアンディーに関しては、観客は当初、もしかして獄房で自殺した?と不安になります。
そして獄房がもぬけの殻になっていると知り、「何処に行った?」という謎が提示される。
そして抜け道が発見され、脱獄した事実を知る。
しっかりと観客の興味をひき続ける脚本と演出。上手いです。
しかしまだです。
ここで終わっても、まだみんなの思い出のベスト1にはなれない。
釈放されたレッドは自殺したブルックスと同じ末路を迎えそうな流れ。
しかしラスト、そんな彼を救い出すアンディー。
この友情エピソードが観客の胸を打ち、「希望」に酔わされる。
この瞬間ですよ、みんなのベスト1になったのは!
やはり名作とされるものはどれもラストが凄い。
あらためて見ると、職人芸が炸裂する非常にテクニカルな映画。
原作のスティーブン・キングの凄さが際立ちますね。
どれほど原作通りかは知らないんだけど。
以上です。だから私は感動しました。
あと、ティム・ロビンスの表情が全編通していいよね。
雨中で両手を上げる有名なシーン、良かったな。
まさかウィレム・デフォーを超えてくるとは。
おすすめモーガン・フリーマン出演作品
○「ドライビングmissデイジー」
あの「いまを生きる」や「フィールド・オブ・ドリームス」をおさえてアカデミー賞作品賞を受賞した作品。
良い映画だったのは覚えているけど、内容はだいぶ忘れたなあ。見直してみよう。
○「コレクター」
「セブン」のようなサスペンス映画だけど、こちらはもっとエンタメ寄り。
モーガン・フリーマンを楽しむならこっちの方がいいかも。
○「ダークナイト」
クリストファー・ノーラン監督作品では一番好きです。
非常にストーリーに奥行きがあり、バットマン映画の中でも群を抜いた完成度。
おすすめティム・ロビンス出演作品
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