アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞受賞の名作。
資本主義社会から零れた高齢の車上生活者たちの物語。
ノンフィクションが原作だけあって、ドキュメンタリー的な作りです。
ドラマチックなヒューマンドラマを期待すると肩透かしにあうのでそこだけ注意。
ネタバレ度10%
ストーリーが無いんだよねこれ。
この記事を書いている2023年12月現在、アマゾンプライムでは見放題配信されています。
DVDで観賞したい方は私も利用している宅配レンタルがお勧めです。
分析
とても評判が良い作品で気になってたんだけど、やっと見ました。
非常に純度が高い作品という印象。
車上生活者、ファーン(フランシス・マクドーマンド)の毎日を淡々と綴っていく。
その中で起こる出会いや別れを切り取っているんだけど、ドラマチックな描き方はされない。
ただただ淡々と。
見初めて30分ぐらい経った時に、そろそろ何か事件が起きるのかなと思ったら起きない。
もしかしてずっと何も起きないのか?という思いを抱いたまま、中盤を迎え、そのまま終わる。
逆にドラマになりそうになると、次のエピソードに入る感じさえある。
ここまで何も起きない映画を見たのは久しぶり。
途中まで不安だったけど、段々と気にならなくなる。
そして気付けばこのままずっとファーンの生活を見ていたいという気分になります。
こんな映画体験は滅多にありません。
アメリカの大自然の映像が本当に美しく、見入ってしまう。
普通ね、何か事件を起こしたくなるんですよ、脚本家は。
観客が飽きるのが怖いんですよね。
ただ、この監督は違う。そんなヤワじゃない。
クロエ・ジャオ監督(中国人女性でまだ40歳!)が見ているのは観客じゃない。
そこで生きているファーン、ノマド(放浪者)の人たちだ。
その姿勢が素晴らしい。
気付けば凄く心地良い時間が過ぎていました。
エンタメもいいが、こんな映画も必要だと強く思わせてくれる。
ファーンたちを見て、こんな生き方もあるのかと、価値観を大きく揺さぶられました。
かたや私と言えば。
全然疲れてないのに左目がものもらい。
ビールだけが幸せ。気づけばウエストがバストを超えそう。
昼間からガーシーをユーチューブで見てる。
色んな意味で泣けてきます。
主演女優のフランシス・マクドーマンドはこれでアカデミー主演女優賞三回目。
今回もこの人以外、誰が演じられるのかと思う素晴らしい演技。
車内でいきなりう○こするシーンは軽い衝撃でした。
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