アイドル映画の枠を超えて、1982年の邦画ナンバーワンヒット作。
企画がキャッチーなのもあるけど、薬師丸ひろ子さんの人気が社会現象的なまでに増長していた証だろう。
ネタバレ度70%
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分析
しかし今見ると、よくそこまでヒットしたなと思う。
相米監督の独特の長回し演出はエンタメからは遠く、むしろミニシアター系の地味な作りだ。
アイドルを起用しておきながら、顔の判別さえつかないロングショットの多さがそれを証明している。
今回は劇場公開版より20分ほど長い完璧版を鑑賞したんだけど、長回し演出も相まって、冗長に感じるシーンも結構あった。
劇場公開版を見ると、また印象が違うのかもしれない。
しかし相米監督の長回し演出とヤクザの組長という特異なキャラ設定のおかげで、薬師丸ひろ子さんの瑞々しい魅力を存分に引き出しているのも確か。
監督の薬師丸ひろ子さんへの偏愛さえ感じてしまう。
この監督、「台風クラブ」でも思ったけど、ほんと、まだ未成年の女優さんに色々やらせるよね。
ここまで来ると、やはり性癖なのだろう。
まず薬師丸ひろ子さんの登場シーンからおかしい。
いきなり意味無くブリッジしている。
アイドルなのに、全く可愛く見えない。むしろ苦しそうだ、そりゃそうだ。
組長になってからは更に大変。
クレーンにつるされてセメントに沈められる薬師丸ひろ子さん。
完全にお笑いウルトラクイズ状態。芸人じゃないぞ、アイドルだぞ。
刺された組員の酒井敏也さんの体に包帯を巻いてあげるシーンでは、あまりにも包帯が長すぎる。
体感五分以上、酒井さんに抱き着くようにして包帯を巻いている。
一体、いつまで巻かせるつもりだ。
あの包帯、トイレットペーパーより長かった気がする。
しかもまだ巻き終わってないのに、酒井敏也さんに「おふくろみたいだ」と言って抱きつかれ、暫く抱き合うという演出。
酒井さん、役得が過ぎる。
更には、劇場公開版ではカットされていた、北村和夫さんに酒を盛られ、犯されそうになる薬師丸ひろ子さん。
本気ロリコンの北村さんに必死に抵抗する様、かなりの熱演です。
重ね重ね、アイドルに何をやらせているのか。
他にも地雷を踏まされて動けない薬師丸ひろ子さんなど。
相米監督の少女趣味、そのサディスティックさをビンビンに感じる。
とにかく少女が苦しんでいる顔、恥じらっている顔が大好きなんだろう。
今なら事務所が撮らせない。
話は変わって、映画全体のプロットについて。
女子高生がヤクザの組長になっての抗争と同時に、父親が何処かに隠したとされる麻薬の在りかを探るサスペンスが同時進行する作りになっている。
この辺りはさすが赤川次郎さんの原作だけあって、上手いです。
このサスペンス要素、刑事役の柄本明さんが事件の真相、つまり麻薬の在りかを説明して解決するんですがそれが映画開始一時間四十分頃。
実は映画が終わるまで、そこからまだ三十分もある。
これって、エンタメ映画ではなかなか無い。
クライマックスで謎が明かされるのが定石だからだ。
普通は失敗するパターンだ。
しかしこの映画はここから薬師丸ひろ子さんが機関銃を撃ちまくり、「カ・イ・カ・ン」と呟く名シーンもあり、飽きさせない。
おかげでサスペンス映画としては弱めだけど、しっかりと青春映画、そして恋愛映画にまで作品を昇華させており、独特の深み、余韻を与えている。
この辺りはツボを押さえた赤川次郎原作と相米監督の演出、役者陣の魅力が非常に上手く噛み合った印象。
そして印象的なラストカットへ。
新宿のど真ん中で望遠の隠し撮り、薬師丸ひろ子さんのスカートが通気口からの風で浮き上がるという、マリリン・モンローの「七年目の浮気」を彷彿とさせる謎の長回し演出。
周りの人達もびっくりしてます。
これ、エキストラじゃありません、一般人です。
薬師丸ひろ子さんの恥じらい、相米監督の趣味、ここに極まれり。
そしてナレーション。
「生まれて初めての口づけをおじんにあげました。私、愚かな女になりそうです」
そして流れ出す名曲、「セーラー服と機関銃」
謎だ。だが、それがいい。
公開時37歳、無茶苦茶カッコいい渡瀬恒彦さんを「おじん」で片づける切なさも胸にくる。
以上です。だから私は感動しました。
ところで、薬師丸ひろ子さんを終始補佐する役どころの渡瀬恒彦さん、カッコいいです。
渡瀬さんと言えば「芸能界一喧嘩が強い」と言われている事で有名ですね。
本物のヤクザ数人と殴り合いの喧嘩になり、「てめえ、何処の組のもんだ!」と問われ、「東映だ!」と答えたという都市伝説、大好きです。
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