ウォン・カーウァイ監督の名を世に知らしめた恋愛映画の傑作です。
公開時、一世を風靡しました。
しかし初見の時は衝撃を受けたけど、以前ほどの興奮は無いなあ。
この映像に影響を受けた作品が増えて、見慣れちゃったのもあるのかな。
当時、スローモーション、手持ちカメラを多用する撮影監督クリストファー・ドイルの映像は斬新だった。
若い映画ファンはもう知らないだろうけど、この頃は映像センスの優れた監督が続々と出てきた。
ハリウッド映画と差別化され、センスのある映画ファン(※自称ね!)はこぞってそっちに流れた。
フランスのネオ・ヌーベルバーグと言われたリュック・ベッソン、レオス・カラックス、ジャン・ジャック・ベネックス。
香港のウォン・カーウァイ、日本の岩井俊二など。
プロット重視のハリウッド映画と違って、映像センスで勝負してくるそれらの作品群に魅了された。
でも現在でも作品を撮ってる人は少ない。
映像センスが売りだと、どうしても寡作になるのかもしれない。
当然、私もこれらの作家にかぶれ、ハリウッド映画を下に見ていましたごめんなさい。
鼻で笑いながら、「ダイ・ハード? ああ、まあまあ面白かったよ。子供は喜ぶんじゃない?」みたいな。
ほんとごめん。
ネタバレ度20%
未見の方はDVD、配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
でもネタバレしても全然大丈夫かな、この作品は。
この記事を書いている2023年11月現在、U-NEXTでは見放題配信されています。
DVDで観賞したい方は私も利用している宅配レンタルがお勧めです。
粗筋
刑事(金城武)と逃亡中の女(ブリジット・リン)、警官(トニー・レオン)と飲食店で働く女(フェイ・ウォン)の恋愛を描く。
分析
あらためて見ると、そうとうおセンチな映画。
ちょっと気恥ずかしささえ感じるな。
それが当時の若者にウケたのだろうか。
この作品、実は脚本分析するには向かないんだよね。
上にも書いたけどプロット重視のハリウッド作品群と違って、映像センスで見せる映画なので。
だからかな、前半の金城武とブリジット・リンの恋愛は今の私的にはさほど面白くない。
金城武の失恋の独白ばかりで退屈でした。
映像はもちろんセンス抜群だけど。
この映画の魅力は後半のトニー・レオンとフェイ・ウォンの恋愛にある。
ていうか、フェイ・ウォンの魅力が爆発!
客のトニー・レオンが気になるフェイ・ウォン。
彼女は偶然、彼の部屋の鍵を手に入れる。住所も知る。
シナリオとしての仕掛けはこれ。
このワン・アイデアで通している。
確かに魅力的なアイデアではある。
好きな異性の部屋の鍵を手に入れる。私ならゾクゾクします。
そしてフェイ・ウォンは日中、彼の部屋に入り浸る。
ええ、ストーカーです。犯罪ですねこれ。
可愛いから許す。
挙句、部屋の掃除から模様替えまで始める。
もはや狂気です。
しかし音楽とフェイ・ウォンの個性か、可愛らしく、とてもポップに見える。
この作品の魅力はここだ。
恋する気持ちを視覚化してる。
やってる事は犯罪だけどな!
これはプロット重視の恋愛映画ではなかなかできない。
このような映画の魅力はそこにある。
この瞬間はまるで奇跡!
素晴らしいですよ。
更にこの映画の魅力を倍増させる音楽ね。
ママス&パパス「夢のカリフォルニア」、フェイ・ウォン「夢中人」。
この曲の劇中の高揚感、映像センスと相まって尋常じゃない。
考えるな、感じろ。
以上です。だから私は感動しました。
しかし部屋の模様替えされてるのに、ストーカーに暫く気づかないトニー・レオン。
ちょっとバカっぽく見えるのはご愛敬。仕事が忙しいんだよね!
しかも室内のシーンではいつもブリーフ一丁。
女性の観客なら嬉しいサービス!
男の私でも嫌でも股間に目がいきます。
目覚める人がいるかもしれない危険な映画。