「ダイ・ハード(1988)」感想。ブルース・ウィリスよ、永遠に!

タ行
引用元 映画.com

アクション映画の脚本で凄いのは?と考えたら真っ先に頭に浮かぶのは「ダイ・ハード」。

公開当時、「面白い」と評判を聞いても、B級映画レベルだろうと思ってました。

そもそもブルース・ウィリスって誰?みたいな。

当時はマッチョなスタローンやシュワちゃんがハリウッドのアクションスターというイメージで、髪も薄くなってきた知らないおじさんがアクションしても…という。

でも見たらむちゃくちゃ面白かった。それでもブルース・ウィリスは一発屋的な印象だったな。
その後ヒット作連発するんだけど。



で、シナリオに注目して改めて見ると、とんでもない映画です「ダイ・ハード」。

やはり真っ先に取り上げざるをえない。

ネタバレ度90%。
未見の方はDVDか配信で!ネタバレ上等な方はお進みください。
まあ、ネタバレしても面白いけどね。




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粗筋

クリスマスイブ。
ニューヨークの刑事、ジョン・マクレーンは別居している妻に会うため、ロスにやってきた。
再会する二人、と同時に事件が起きる。
二人のいる高層ビルをテロリストたちが襲撃し、あっという間に占拠したのだ。

パーティーに出席していた妻は他の出席者たちと共に人質に。
偶然難を逃れたマクレーンは一人、テロリストたちを相手に戦いを開始する。

分析

高層ビルでの戦いを描く、空間限定アクション活劇。

こうゆうのって、どれだけのアイデアを出せるかにかかってくるんだけど、この作品のアイデア量、半端ないです。
原作があるみたいなんだけど、全て作者一人のアイデアなんだろうか。だとしたら凄まじい。



冒頭の十分。
マクレーンがニューヨークから妻に会いにやって来た刑事だという事、夫婦の微妙な距離感が描かれます。

マクレーンの脇から見える拳銃、家族写真や名簿など、小道具を使ってさらりと紹介する。
この夫婦が顔を合わせた時には観客はもう微妙な関係だとばっちりわかっています。
工夫の無い脚本家わたしなら二人を会わせてから微妙な距離感を描こうとするでしょう。

いきなり上手い。
ハリウッド映画はこうゆうの、ほんと上手い。

さて、二人が顔を合わせて、とりあえず定石通り喧嘩。
そしてテロリストたちがビルを襲撃し、パーティーの出席者たちを人質にとります。

マクレーンは一人、難を逃れます(開始25分)。二幕開始の合図です。

マクレーンはテロリストの一人を殺し、武器とバッグを強奪。
バッグから無線を取り出し、テロリストのリーダー、ハンスに話しかけ、宣戦布告します。
この鼻っ柱の強さがマクレーンの魅力で、ブルース・ウィリスが見事にはまってる。



マクレーンは無線で警察にSOS。
と同時にテロリストたちに襲われるが、何とか逃げきります。

そこへ連絡を受けた警官、パウエル巡査部長がパトロールにやってくる。
テロリストたちは平静を装い、何も異常は無いと答える。
パウエル巡査部長はいたずら電話かと思い、去ろうとする。

その様子を見たマクレーンは窓から死体を落として、マシンガンを乱射。
パウエルはやっと異常を知り、応援を要請、警察が駆けつけます。(開始57分 ミッドポイント)


ざっと二幕前半の流れを書きました。
ビル内のサスペンスだけじゃなく、パウエル巡査部長とのやり取りがサブストーリーとなって絡み合い、いい緊張感で盛り上げます。
一旦は帰ろうとするところとか、観客の気持ちを上手く誘導して、感情移入させます。

さて後半。
このミッドポイントからクライマックスまでの流れ、そのアイデア量は尋常じゃないですマジで。

警察がやってきて、とりあえずストーリーは警察VSテロリストに。マクレーンは休憩となります。
しかしマクレーンが持っているバッグには起爆装置が入っており、テロリストたちはマクレーンを捜します。

警察がビルに突入するが、テロリストたちにその動きは読まれ、あっけなく失敗。
装甲車まで突入させますが、ミサイルで迎撃される始末。
見てられないとばかり、マクレーンは奪ったプラスチック爆弾を階下で爆発させ、反撃します。

そこへ、人質の中にマクレーンを売る人間が現れます。
こいつはあっさり殺されるんですが、マクレーンが刑事だとテロリストたちにばれてしまいます。

ハンスは警察に収監されているテロリストたちの解放を要求します(だが本当の狙いは金庫の有価証券)。
と同時に現場にFBIが到着し、指揮権交代。何かとマクレーンと対立してた警察の指揮官はここで退場。

更に、計画の確認をしているハンスとマクレーンが偶然、遭遇します。
丸腰のハンスは逃げ出した人質のふりをして、油断したマクレーンを殺そうとしますが、マクレーンの機転により正体がばれる。
形成逆転かと思った瞬間、そこへテロリストたちが現れ、マクレーンは急襲されます。
この時、マクレーンが裸足なのを知ったハンスは、ガラスを撃ち、床を破片で埋めます。
何とか逃げおおせたマクレーン、しかし足の裏にはガラスが刺さり、まともに歩けない状態に。
起爆装置はテロリストたちに奪われ、ストーリーはクライマックスへ。(開始100分)



どうでしょう、二幕後半のシーンをざっと書いてみました。
この間、マクレーンとパウエル巡査部長の無線を介した友情も育まれていきます。

息もつかせぬ展開、アイデアに次ぐアイデア、目眩がします。

特に裸足にガラスの破片がいい!


そして最終決戦へ。もちろん、アイデアてんこ盛り!


マスコミのスクープ合戦によってマクレーンと人質の一人が夫婦だとテロリストにばれます。

更に緊張感が増す中、テロリストの要請にFBIが応え、彼らが脱出するためのヘリが屋上に迫ります。

しかしテロリストたちは屋上に爆弾を仕掛けており、人質もろとも木っ端微塵に吹き飛ばすつもり。

その企みを知ったマクレーンは屋上へ。
人質たちを逃がし、消火ホースを体に巻いて、爆発と同時に屋上からダイブ!

妻を盾にされながらも、テロリストたちの計画を阻止し、全滅させます。



書いてる私も訳が分からなくなりそうですが、もうこの辺の展開は凄い緊迫感で興奮マックスです。

全く先が読めない! いや、読む前に既に次の展開に入ってる、そんな感じ。

そしてラスト、やっと再会し、抱き合うマクレーン夫婦。
これにパウエル巡査長のちょっとしたドラマもあり、声を聞こうと突撃してくる記者を妻が殴ったりと、全ての出演者にちょっとした見せ場を与え、夫婦のキスで終わる。





見事です。






見事すぎる。




シナリオに注目するようになってから、この映画をTV放映で何気なく見た時、唖然としました。

何だ、このアイデアの量は、と。ここまで絞り出すものか、と。

「コマンドー」なんか見てくださいよ、シュワちゃんが娘助けに銃を乱射してるだけですよ(「コマンドー」はまた違う魅力があるんですけども! 特に吹き替え版)。


今だにこの作品以上のアクション映画のシナリオを私は知らない。



以上です。だから私は感動しました。


ブルース・ウィリス、病気で引退しましたね。
今までありがとうと心から言いたい。


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○「シックス・センス」
M・ナイト・シャマラン監督の代表作。
見事などんでん返しで有名。確かに初見ではびびりましたね。



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