「ブロークバック・マウンテン(2005)」感想。公開時は地味な印象だったが、今見るとスターたちの名演が沁みてくる!

ハ行
引用元 映画.com


数々の賞を受賞した名作とされてるけど、見る人や年齢によって、だいぶ印象が変わるだろう作品。


公開時に見たんだけど、正直なところ、知らない役者陣ばかりであまり印象に残らなかった。

しかし、あらためて配役を見ると、今や名の売れた人ばかりでもはやオールスター。

ちゃんと見直したいなあとずっと思ってました。


ネタバレ度80%。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。


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分析


惹かれ合う男同士の20年来のラブストーリー。


当時としては珍しい題材だったろう。
今はBLものは漫画とかでは人気ジャンルだったりするけど。


この映画、描写も結構生々しくてリアル。
主演のヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールはさすがの演技。

二人とも完全に恋する乙女。




二人は牧場で出会ってひと夏を共に働き、愛し合う。
そして牧場との契約期間が終わり、別れる。

俗に言うひと夏の恋。


ここを前半四十分で見せる。


二人共、「楽しかったぜ、ありがとう」という感じで、あっさり別れる。

しかし一人になった瞬間、泣き崩れるヒース。いいね。



別れた後、ヒースもジェイクも女性と結婚し、子供も産まれ、父親として生きる。




そして四年ぶりに二人が再会するミッドポイント。



二人は再会した瞬間、激しくお互いを求め合う。



ええ、不倫ですよ。



更には二人がっつり唇を貪り合っているのを、ヒースの妻、ミシェル・ウィリアムズが目撃。



展開早っ! 一気にドラマのスィッチが入ります。


ミシェルにすれば男に夫を奪われるという、なかなか珍しいパターン。


観客は誰もがミシェルに同情する。


ヒースとジェイクは久しぶりに再会してからは焼け木杭に火が付いた状態で、ご機嫌で逢瀬を重ねる。
素っ裸で崖からダイブしたりと、高校生ばりのはしゃぎようです。



そんな中、夫の浮気を責めるでもなく、ただ黙って耐えるミシェル。


観客として、ここはかなり好き嫌いが分かれるところ。

ほとんどの方は妻も小さい子供もいるのに、何で不倫してるんだ!と夫二人に嫌悪感を覚えるところです。



家族を残し、釣りに出かけると言ってはテントの中でラブラブな二人に、「一体、何なんだこいつら?」と。


私も「ん? これ、大丈夫?」と思いました。

これで名作になるか?と。



そんな事を考えていたら、ミシェルは夫の浮気、その証拠を突きつけ、離婚します。

子供たちもだいぶ大きくなったからでしょう、よくここまで我慢したよ、偉いぞミシェル!




そして映画はここからヒースとジェイク、二人のラブを描いていくわけですが。

ヒースが離婚したと聞いて、ご機嫌で会いに来るジェイク。
そのハイテンションを見ると、ミシェルの涙を思い出してムカつきます。


そんな主演二人に嫌悪感を感じてきた私ですが、実はですね、この映画の凄味はここからです。



自由に会えるはずの二人、しかし、ここから二人の苦しさが強く描かれていきます。


家族を傷つけ、もうこんな関係はやめようと思いつつも、お互いを恋しく思い、続けざるをえない苦しさを。


ゲイに対する周囲の保守的な思想。
バレたらただではすまない、どれほどの嫌がらせを受けるか。
それだけで殺される可能性もあります。


そんな周りの目に怯えながら続ける逢瀬。


周りの誰もが自分たちの関係に既に気づいているんじゃないかという恐怖。




実際、映画を見ていると、ほとんどの者は二人の関係に気づいている、怪しんでいるように見える。
だが、あえて口にしない。

そう、周りの人たちの葛藤をもこの映画はさりげなく描いている。


身近にタブーが存在する恐怖を。


ここまで描いている事が、この映画が名作たる所以だ。




非常に繊細な演出です、さすがのアン・リー!


おかげで他の恋愛映画とは違う、一段違う深みを持っている。


あらためて見て、「あー、やはり凄い映画だな」と感じました。




そして完全なネタバレになりますが、この映画のラスト、ジェイクは死亡します。

この死亡ですが、その理由については映画内でははっきりと明かされません。

妻のアン・ハサウェイは事故死だったとヒースに告げます。

しかしその凄惨な死体状況から、ゲイであると知られてリンチにあったんだとヒースは想像します。



ちなみに原作でもこの死亡理由についてははっきりとは書かれていないそうな。

観客に委ねる形ですね。

私もリンチにあったんだと考えています。

ジェイクは脇の甘いところも見受けられましたし。


しかしこの謎に正解はありません。
見た人それぞれが想像しましょう。






この映画、最初に書いたけど、今見るとキャストが本当に素晴らしい。

ヒース・レジャー以上にジェイク・ギレンホールの「恋する乙女」っぷり、その表情はさすがだった。


ミシェル・ウィリアムズは言わずもがな。
観客にもっとも共感される立ち位置で、確たる意思を感じさせる芯のある演技。


アン・ハサウェイは何より美貌。
役としてははまり役ではないし、それほど印象に残らないけど、こんなアンもいい。
次の年に「プラダを着た悪魔」で大ブレイクするその予兆は感じます。


以上です。だから私は感動しました。




ちなみに昔、バイトしてた折、いつも一緒にいた男性がいましてね。

バイトを辞めて会わなくなってから、人づてに、その男性がゲイだと知りました。
しかもバイト先に好きな男性がいたという。




あー、俺か。



君の気持ちに全く気付かなかった、すまない。


でも気付いていたとしても、君の気持ちに応える事はできなかっただろう。
むしろ知らずに接していた方が彼にとっても良かったのかもしれない。


俺の優しさが逆に辛い思いをさせた事もあるかもしれないな。


男心はわからない。

ごめんな。



そんな事を考えました。







まあ、結果、私じゃなかったんだけど。





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