リュック・ベッソンの最高傑作とされる映画です。
あらためて見ると、やはり素晴らしい完成度。
今回は公開時以来、オリジナル版を観賞しました。レンタルや配信でも完全版が多くて、ずっとオリジナル版を見たかったんですよね。ユーネクストでたまたま見かけたので飛びつきました。
基本的に私はどの映画でも完全版はファンサービスだと捉えています。
映画としての完成度を求めるならオリジナル版が一番だと。
完全版を見てがっかりする事もありますからね。
あえて「ニュー・シネマ・パラダイス」とは言いませんが。
この「レオン」もオリジナル版はやはりテンポや構成、素晴らしかったです。
ちなみに完全版の方はベッソンが本来公開したかったものと言われています。
批判された刺激的なシーンや、不健全なシーンをカットしたものがこのオリジナル版と言われています。まあ、リュック・ベッソン、趣味を全開にするとかなり危ないですからね。わかります。
以下、ネタバレ含みます。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
分析
やはりですね、主要キャラの魅力が素晴らしいです。
まずジャン・レノ演じるレオン。
凄腕の殺し屋で、トレーニングを欠かさないストイックな男。
牛乳が好きで、観葉植物を友にし、そして映画を愛している。
ちなみに読み書きはできない。
なお、ベッソンがレオンとマチルダのラブストーリーにしようとするのに抵抗して、ちょっと知的障碍者っぽいアプローチにしたとインタビューで語っていましたね。
マチルダの求愛に対して、どう反応すればいいのかわからないような、不安げな表情はこのキャラクターを凄く魅力的にしています。この点でもジャン・レノの功績は大きいです。逆に12歳の少女との恋愛をマジで撮ろうとしたベッソン、ちょっとヤバい。

そしてナタリー・ポートマン演じるマチルダ。
この作品を名作に押し上げた一番の功労者はやはり彼女でしょう。
家族を殺され、復讐するために殺し屋になりたいとレオンに頼む少女というキャラが既に立っている。
どう見ても子供なのに、時折、大人っぽい、妖艶な表情を見せて観客をドキッとさせます。
家族を皆殺しにされた後の、レオンとの会話が何より印象的です。
「あなたの仕事は何?」
「掃除人さ」
「殺し屋?」
「ああ」
「すてき」
ここでマチルダのキャラが完全に立ちました。
レオンは「え?」という表情を見せ、映画の主導権はもうマチルダのもの。
それから紆余曲折ありつつ、レオンから殺しのレクチャーを受けるように。
闇の世界にどんどん足を突っ込む少女。映画としてはやはり鉄板の面白さでしょう。

それでいてやはり少女らしいところも残してる。
豚の鍋つかみを抱いて寝ているカットとか、絶妙です。

この儚さ、素晴らしいですね。
この二人だけでも十分な面白さがあるんですが、この「レオン」にはもう一人、強烈なキャラがいます。
そう、ゲイリー・オールドマン演じるスタンスフィールド。
麻薬取締局の捜査官でありながら、組織的密売を裏で牛耳る悪党です。
クラシック音楽を好み、女、子供を容赦なく惨殺するヤク中。
ゲイリー・オールドマンを一気に有名にしたこのキャラは映画史の中でも屈指の悪役です。

この三人のアンサンブルが映画をぐいぐいと引っ張っていきます。
そして見逃せないのがベッソンのアクション演出です。
ハリウッドとはまた違った肌触りで、観客を引き込みます。
しかしよく見ると、レオンが見せるアクションシーンって冒頭の暗殺シーンと、クライマックスの警官たちとの激突、この二つだけなんですよ。
あと、スタンスフィールドたちがマチルダの家族を虐殺するシーンを加えた三カ所がこの「レオン」のアクションシーンの全てです。
アクション映画の手本とされるような名作なのに、意外と少ない。
しかしその見せ方は本当にアイデアが凝縮されていて凄いです。
一番驚いたのは冒頭の暗殺シーンですね。
ただ銃をバンバン撃って大人数を倒していくような描写じゃなく、モロに暗殺なんですよ!
階段の死角からヌッと出てきたり、縄が垂れてきて首を絞めたり、物陰からスッとナイフを首に当てたりする描写が無茶苦茶カッコいいです。
洒落てるんですよね。
このファーストシーンだけでこれはちょっと違うぞ!という感が出ています。
他にもレオンが仕事から帰ってくると、負傷していて、自分で傷を縫合したりと、アクションを見せずに殺しを連想させる粋な描写の数々。
レオンがホテルに着くと、まず室内を調べて回ったり、寝る時は座ったまま、サングラスをかけて寝るなど、一つ一つのカットに無駄が無く、殺し屋としてのディテールが本当に凝ってます。
こういった一つ一つの描写、アイデアの量がそこらのアクション映画とは違うんですよ!
この時期のベッソンの才気が迸ってますね。
ハリウッド進出第一作目だった事もあり、並々ならぬ意気込みを感じる。
エンタメ作品ってつまるところ、アイデアの量なんですよ。
そしてクライマックス、レオンの活躍ぶりと切なさ、本当に見事です。
ただ、あらためて見ると、ベッソンの性癖、やばさをびんびんに感じます。彼のこの頃の私生活を知ると猶更ですが。
しかしその中で静かに抵抗をしたジャン・レノとナタリー・ポートマン、そのひりひりするような緊張感がこの映画を名作に押し上げた、特別なものにしたように感じますね。
以上です。だから私は感動しました。
この映画、デートの約束をして、待ち合わせ場所に彼女が現れなかった思い出があります。
それだけです。
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