「シン・エヴァンゲリオン劇場版(2021)」感想。今更ですが庵野監督、完結おめでとうございます!

邦画
引用元 映画.com

見直すのは公開時以来か。


エヴァンゲリオンはTVシリーズから映画版も全て見ているけど、謎を色々と考察するほど熱心なファンではない。

しかしTVシリーズで興奮し、あのラストに呆然とした当時の一ファンとして、今回の完結編は感慨深い。


何故なら一生終わらないと思っていたエヴァンゲリオンが見事にちゃんと終わったから。

映画館で見た時は本当に終わったという感動と、終わってしまったという寂寥感に包まれ、放心状態になったのを覚えている。

こんな映画体験は他に無い。

やはり素晴らしい、唯一無二の作品だと言わざるを得ない。
尊敬します、庵野監督。




ネタバレ度40%
ネタバレしようにも正直、細かいところはよくわからん(笑)。


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分析

さて、いつもは脚本を分析し、その面白さを探っているんだけど、この映画に関してはそんなの意味が無い。


四部作の完結編だけあって、物語の起承転結でいうと、「転」の途中から始まっているような感じ。
だから構成に関しては言及できないし、する意味が無い。

まして観客を楽しませようとか、サービス精神皆無の監督なので(良い意味!)、脚本のテクニックみたいなのも無い。


ただただ凄いイマジネーションに圧倒される作品。


これは庵野監督しか書けない。

世界的に見てもこんな人、いないんじゃないの?と思わせる。

同時代に生きて、リアルタイムで作品を鑑賞できている事がとてもありがたい。


今回の映画、前半は社会を一つ一つ学習していく綾波レイと、落ち込んでいる碇シンジが交互に描かれます。

はっきり言って、そんなに重要な描写ではないと思うんだけど(特に綾波のターン)、クライマックスに入るためとしては必要。
それにしても長かった。

主人公であるシンジがやっと言葉を発するのが開始40分過ぎ。

綾波の死で再び戦う決意をするのが55分。

約一時間。
やっぱり長いが、観客がキャラを愛しているからこそできる力業。

ここからクライマックス、最終決戦に入っていきます。

そしてアスカが使徒化するのが90分。

これを受けて、シンジが出撃するのが103分。

ここからは碇シンジVS碇ゲンドウ。

物質世界と精神世界を繰り返す庵野劇場が展開される。

空間軸も縦横無尽、見てるこっちはもう庵野監督のイマジネーションの滝をただただ浴びるのみ。

マンションのキッチンや学校の教室、綾波の部屋でエヴァンゲリオンが戦うとか、やりたい放題ですよ。

そしてレイ、アスカ、カオルと人気キャラの救済があり、全ての決着が着く感動のラストへ。



という流れなんですが、まあ、細かいところは私の頭ではよくわからん。


魂の浄化とか言い出したところから、庵野劇場もアクセル全開で映像も台詞も私の理解の範疇を軽々と越えてくる。
すまんの、頭悪くて。


ただ、見てるとゲンドウのエゴが凄い。
彼の独白を聞いても、ようするに妻のユイに会いたいだけじゃないか。
そのためにはもはや人類がどうなろうが関係無いでしょ、この人。

まあ、TVシリーズから一貫してるとも言えるが。

そんなゲンドウの弱さを指摘するシンジが逞しい。
成長したものだ。

ゲンドウからの愛を求め続けたシンジが、今やっと父親の本性を知った事、そして否定できた事でエヴァンゲリオンは完結する事ができたのだろう。


事ある毎に逃げていたシンジだが、劇中、渚カオルとのシーンで印象深いやりとりがある。

「泣かないのかい?」
「涙で救えるのは自分だけだ」

おお…。


シンジの台詞とは思えない。
おじさん、その成長に涙したぞ。


そして映画のラストシーン。

リアルの現代の日本。

大人になったシンジ。
映画版オリジナルキャラクターのマリに「相変わらず可愛いよ」と言い放つ、余裕を感じさせるイケメンっぷりに成長している。


若干、イラッとします。
そう言えばいましたね、映画にでも感化されたか、突然、大人ぶって女子にきざな事を言いだす奴が。
そして場を寒くさせて、自分の限界を知るという。

俺ですよ。


このシンジ、マリも満更でもない感じがイラッとします。
メソメソシンジはもう、遥か彼方に行ってしまった。
私を置いて。


そして二人は街に向かって走り出す。

エンディングに宇多田ヒカルの曲が流れ出す。

このミサトさんたちが命を賭して守った世界。


「ビューティフル・ワールド」





見事です。





庵野監督は以前、エヴァンゲリオンの熱狂の中、ファンに対して「アニメばっかり見てないで外に出ろ」みたいな事をインタビューでよく言っていた。
メッセージをちゃんと受け取れと。
しかし自己否定にも感じられる発言だった。

熱狂するファンたちを否定するように、映画の劇中にそのまま出した事もある。

だが今回、シンジが守った世界で、シンジがちゃんとリアルで生きていく姿を見せた。
このシーンを見せる事で、庵野監督はファンを否定するんじゃなく、ファンの背中を押す事に成功した。

これこそ、庵野監督の成熟ともとれる。



以上です。だから私は感動しました。



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