「シン・仮面ライダー(2023)」感想。賛否両論吹き荒れる問題作。そこはさすがの庵野監督!

邦画
引用元 映画.COM



あの、冒頭で宣言しておきますが、仮面ライダーの蘊蓄を求めて検索して来られた方、その手の情報は一切ありません。
ごめんなさい、戻るボタンをお願いします。




昭和ライダー後半世代だけど、実はそれほどテレビシリーズは見ていない。

しかしスカイライダーベルトを買ったのは覚えている。



庵野作品に関してはエヴァからほぼ見てるので、この作品も楽しみにしてたんだけど、あまりの賛否両論ぶりに臆してた。


友人からも「見なくていいかも…」と言われ、配信待ちでいいかなと。
(ちなみにこの方は生粋のライダーファン)


しかし最近、NHKで放映されたドキュメントを見て、興味が沸き、見に行ってきました。



結論から言うと、楽しめたけど、完成度という点では低めかなあ。




ネタバレ度70%
未見の方は映画館へ! ネタバレ上等な方はお進みください。


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分析


賛否両論あるけど、結局のところ、観客としてこの作品に何を求めたかだと思う。



私が想像するに、観客が求めたものは3パターン。



〇シン・シリーズの売りになっている、新たな切り口。

〇ライダーものの見せ場である肉体アクション。

〇庵野監督ならではの作家性。




その一つ目。

シン・仮面ライダーの製作が発表された時、私はシン・シリーズの売りである新たな切り口の仮面ライダーを期待しました。


シン・ゴジラは「現代の東京にゴジラが現れたらどうなるか?」という切り口で、観客の興味を引いて大ヒット。


政府や自衛隊の動きを庵野監督らしいディープさで見せて、面白かったです。


シン・ウルトラマンもこの流れを踏襲して大ヒット。



ただ、仮面ライダーの場合、この切り口は使いにくいなとも思いました。

相手が怪人ですから、政府や自衛隊とかのスケールにはならないだろう、県警ぐらいかな?と。




その上で、この「新たな切り口」というものを提示しないと、不評、失敗するかもと思いました。



映画やテレビドラマの企画募集で毎回「新しい切り口」を口酸っぱく言われるのは、何よりそれがヒットするために必要だから。

企画とはそれだけじゃないと思いつつも、ヒット作を見直すとやはり大事なんだなと痛感させられます。



しかし今回、公開されてから否定的な意見を見るにつけ、このシン・シリーズの売りである「新しい切り口」は提示できなかったんだろうと想像しました。


そして作品を鑑賞して、その予感は当たりました。



今までのシン・シリーズのやり方を踏襲して、警察の動きや政府組織の動き、その面白さを提示できたら大分違ったと思うけど。



例を一つ挙げれば、仮面ライダー、ショッカー、県警の三つ巴の戦いとか。
ショッカー軍団対SATとか、1シーンでもあれば作品の印象は全然違ってくる。

(ちなみにライダーファンの友人に聞くと、ライダーと警察が組むというのは平成ライダーでやっているらしい)




今までの「現在の東京に仮面ライダーやショッカーが現れたらどうなるか?」という切り口でも良かったんじゃないかなあ。


だってコスプレ怪力男が絶世の美女を連れて、バイクで暴走してるんでしょ?


ネットとかで騒ぎになるだろうし、そこからストーリーを広げていけばいいのかなと。






結果、この「シン・仮面ライダー」は庵野監督が大好きな初代仮面ライダーを撮った。
それ以上でもそれ以下でもない。




おそらく何の情報も入れずに見に行ってたら、私もシン・シリーズの売りである「新たな切り口」を求めてしまい、否定的な意見を言っていたと思います。


ただ、覚悟して行ったので、けっこう楽しめたというのが実際。






そして二つ目。


アクションに関して言うと、これ、ほとんどの人が序盤がピークと感じるんじゃなかろうか。



ドキュメントで庵野監督は段取りのアクションはいらないと言ってます。


確かに平成ライダーでも散々アクションやってますからね、ライダーの枠組みで新しいアクションを見せるのは難しいです。


CGも最先端のマーベルをたくさん見てきてる観客に対して、どうすれば興奮させられるのか。


ゴジラやウルトラマンに無かったこの難題。



結果から言うと、おそらくここを求めた観客が一番不満を抱いたのではないか。
平成ライダー見た方がよほど面白い、みたいな。



もう一度言います、アクションに関しては序盤がピークです。



クライマックスの見せ場である3人の戦いは途中からただの揉み合いになってます。


段取りアクションを否定すればそりゃそうなるでしょう。


(ちなみにドキュメントを見ていた私はその意図がわかっていたけど、まだドキュメントを見ていなかった友人は「な、何してんの?」と唖然としたらしい)



段取りアクションに代わる何かを提示できるかどうか。



これ、庵野監督も答えを見つけられなかったんじゃないだろうかと思う


実写アクション、初めてだし。


これほどカットを割って、CGを使うなら、段取りだろが何だろうが、関係無いと思うし。



その反省が、後悔が、続編の構想を早くも語る状況になったんじゃないかと想像します。





そして三つ目。


この作品、庵野監督らしさ、その作家性を求めた観客には、好評かと思います。

なんせ拘りだらけですから笑


ネタバレになりますが、浜辺美波さんが死んでからクライマックス、ラストの流れはモロに庵野印。


ただ、庵野監督らしさを求めるなら、エヴァの方が当然、上。


庵野監督なりの進化を見たかったなというのが本音です。





そして脚本について言及すると、中だるみがあるのは否定できない。

敵が多いのかなあ、駆け足感があって、ドラマが上滑りしてます。

30分番組を続けて見せられているようで、構成の積み重ねが希薄。

この作品をつまらないと言う方はおそらくここで一度寝てます。





ただ、長澤まさみさんの吹っ切れたキレキレ演技には喝采の拍手を送りたい。



本当に監督にキレてそうだけど。







と、いうわけで、色々と消化不良な感はある。



でもね、昭和ライダーを見てた私としては、いちいち格好いい描写、カットがあり、たくさん興奮させられたのも事実であり、元は十分取れました。


続編があるなら期待したい。



これだけ賛否両論が巻き起こる作品を発表してる事が凄いですよ、そこはさすが庵野監督です。

否定的な意見と同時に、十回見たとか、熱狂的な意見もちゃんとあるんだから。




あと、浜辺美波さん、美しかったです。眼福。



以上です。だから私は感動しました。




あと、ドキュメントを放映してから、庵野監督へのパワハラ批判があります。

まあ、いつもの庵野監督でしたけど、普通の企業ならアウトかなあ。

でも映画撮影は戦場であり、庵野監督の映画に対する真摯さは十分伝わりました。
一緒に戦っている事も。

そして、もし続編があれば、同じスタッフが集結するんだろうなとも思いました。
それが総てかと。


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