言わずもがな、ベトナム戦争を描いてアカデミー作品賞まで受賞した名作です。
ベトナムのジャングルでの戦いを、ベトナムで戦うアメリカ兵の生態や思考を、リアルに描いた作品として大変な熱狂を呼びました。
直後にベトナム戦争を題材にした映画がたくさん作られたけど、やはりこの作品が一種のブームを呼んだのは間違いない。
あのキューブリックでさえ、「フルメタルジャケット」を発表したぐらいなのだから。
久しぶりに見たけど、やはりさすがの名作です。
実はオリバー・ストーンは押しが強くてそれほど好きじゃないんだけど。
この作品はやはり特別ですね。
ネタバレ度50%
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分析
この映画の凄さは、ベトナム帰還兵のオリバー・ストーン監督が徹底的にリアルにこだわった戦場のディティールにある。
ジャングルの暑さや虫との戦い。
ベトナム民間人への虐待や強姦、アメリカ兵の麻薬汚染、同士討ち、誤爆など。
その点は確かにリアルなんだろう。
ただ、私は「プラトーン」が人生最初に見た戦争映画だったので、「これは今までと違う!」というような感覚は持たなかった。
なので高く評価されているこれらディティールについて、熱く語るテンションにはありません。
ただ、やはり戦争映画がプラトーン以前と以後で明確に分かれているのは理解できる。
それまでの戦争映画って、大体、ノルマンディー上陸作戦とか、○○での激戦とか、戦闘をどう描くかって事に注視されてたからね。
ベトナム戦争の映画でもこの作品までは「地獄の黙示録」や「ディア・ハンター」など、ベトナムを題材にしつつ、監督が撮りたい人間ドラマを撮った印象が強い。
そんな流れの中で、オリバー・ストーン監督がとことんリアルに拘った。
狂信的な情熱を持って。
しかしだ、ただベトナム戦争をリアルに描いたというだけでは、ここまでの大ヒットはしていないと思う。
このインディーズ映画として制作された低予算映画、無名の俳優たちばかりの映画が何故これほど大ヒットして、名作とされているのか?
シナリオの点からいえば、バーンズ(トム・べレンジャー)とエリオス(ウィレム・デフォー)、二人の衝突をストーリーの核に据えてある事、これに尽きる。
魅力的なキャラクターの衝突を軸に据えて、誰もが共感する力強い人間ドラマに仕上げた事、それがここまで大ヒットした要因だ。
ベタなドラマなんだけど、オリバー・ストーンはこの「プラトーン」撮影時、監督としてより、脚本家としてキャリアを築いている。
ヒットするには骨太な、ベタなドラマが必要なのを経験的に知っていたんだろう。
この二人、バーンズはベトナム兵のリアルを具現化したキャラクターで、エリアスは当時、反戦に声を上げた若者たちを具現化したキャラクターなのだろう。
この二人を演じたトム・べレンジャーとウィレム・デフォーは見事なはまり役。
バーンズは粗野で暴力的、現実の社会では犯罪者になりそうな危険な男だが、狂乱の戦場において非常に頼れる兵士だ。この矛盾。
顔の傷も恐怖心を煽る。見た目がもう怖い!
そしてこの映画の観客の共感を一手に引き受けるエリアス。
戦争では時に死を招く良識派。
これを当時、悪役で名を売っていたウィレム・デフォーが演じているのが面白い。
その笑顔から滲み出る優しさ、私の中では彼のベストアクトだ。
そんな彼が敵ではなく、味方のバーンズに撃たれて孤立し、それでも必死に生を求めて逃げる様は胸を締め付けられずにはいられない。
この名シーンがこの作品を屈指の名作にしたのは間違いない。
この映画以上に戦場を苛烈に、悲惨に描いた映画はたくさんあるが、このシーンの切なさを超えるものはいまだ見た事がありません。
このバーンズとエリアス、アメリカ兵同士の争いが、彼らは一体、何と戦っているのか?と言うベトナム戦争全体のテーマにまで昇華している事に大きな意味がある。
二人の争いがこの映画に無ければ、リアルな戦場を描いた映画というだけで、名作にはならなかっただろう。
以上です。だから私は感動しました。
ちなみに美しきエリオスを演じたウィレム・デフォー。
この作品までは悪役で名を売っていたと書きましたが、こんな感じです。
え、何この衣装?
時代のせいかと一瞬思いますが、この時代に見た時も「何だこれ?」と思ったから、時代は関係ありません。
この「ストリート・オブ・ファイヤー」での悪役もある意味、彼のベストアクトです。
素晴らしいアクション映画で、これほどラストにテンション上がる映画は滅多にありませんので、未見の方は是非。
あと「プラトーン」について書く事は…何だっけ、主演のチャーリー・シーン?
うん、頑張ってた。
ジョニー・デップも出てますよ!
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