「パーム・スプリングス(2020)」感想。アイデアだけで勝負するこの潔さよ!

ハ行
引用元 映画.COM

タイムループを題材にしたラブコメ。

見て何も残らないけど、アイデア勝負に徹した作りに感心して、今回記事にしました。

狙ってかはわからないけど、構成が独特なんだよね。



ネタバレ度70%。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。


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分析


タイムループを題材にした映画はたくさんあって、良作も多い。


「バタフライエフェクト」「恋はデジャブ」などが特に有名。



最近では「ハッピー・デス・デイ」がB級映画ながらシリーズ化されて評価が高い。



そのほとんどは主人公にタイムループする目的がある。
愛する者を救うため、死から逃れるためなど。

それが動機となってストーリーを動かしていくんだけど、今回の「パーム・スプリングス」はちょっと違う。


何故かタイムループを繰り返す羽目になった男女が、ループを繰り返すうち、次第に愛し合っていくというストーリー。



この逆転の発想にまず目を見張る。


ちょっと普通、考えつかないよね。


どうやってプロットを組み上げていくのか、俄然、興味が沸く。

まともにやったら大量のアイデアが必要で、かなり難しそうだ。


と思って見てたんだけど、この作品はやはり斜め上を行く。


普通なら二人の恋の進展を作品の面白ポイントにするところだけど、そこをほとんど描かない。


一緒にタイムループを繰り返しているうち、気づいたらセックスしてる。

二人の恋が成就する、つまりセックスする、ここが作品のミッドポイントなんだけど、ここに至るのが映画開始45分。

ヒロインを尻軽女に設定しているため、ここのドラマが早いのよ。

見せ場らしい見せ場はほぼ無かった。

本当に恋愛映画なのかと疑うレベルです。


こんなに早くセックスして、今後どう展開するんだろうと思ってたら、愛してしまった事でお互いの嘘や秘密に葛藤するという展開。


なるほど…そうきたか。

意外な展開です。
これがフックとなって、映画としてはここから俄然面白くなる。


そして女は男の前から消えて、タイムループから逃れる術を探すという流れ。

男はいなくなった女を探す。


二人の愛の結末は? タイムループから逃れられるのか? とクライマックスに向かっていく。



主人公の二人が大きく葛藤するのがセックスしてからだから、やはり作品が面白いのは後半。

前半はそんなに面白くない。

でも構成が読めず、ラストもどうなるかわからないため、気づけばどんどん面白くなっていくという珍しい体験だった。

面白い作品はほぼ前半から面白いからね。



この作品、二人の恋愛ドラマをしっかり描く事は放棄して、90分の短尺で一気に進んでいく。

この割り切りが潔くていい。

もっとキャラを膨らませて、タイムループものらしい伏線をたくさん作って、しっかりとしたラブストーリにできる可能性もあった。


泣かせる恋愛ものにだってできたはず。


だけどライトなノリで駆け抜けた。


その点で好みも分かれるだろうし、名作と言われる事も無いだろうけど、この独創的な設定と構成はやはり一見の価値ありだろう。



ただ、主役の二人はもう少し、ロマンチックコメディの似合う役者さんにしてほしかったというのが本音かなあ。

特にヒロイン。
良い女優さんなのは確かだけど、ちょっとラブストーリーのヒロインとしては魅力が弱いと感じた。


以上です。だから私は感動しました。



ところでJ・K・シモンズ、あなた出てたのか。
「セッション」のパワハラ教師のイメージが私はまだ抜けていません。

良い人の役されると不思議な感じがする。


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