「ローグ・ワン(2016)」感想。モブ達を描くスター・ウォーズ。これは俺達の物語だ!

ラ行
引用元 映画.com


スター・ウォーズと言えばダースベイダーやハン・ソロなど、人気キャラ目白押しのシリーズ。

ジョージ・ルーカスが作り出した精緻で広大な世界の中で推しキャラが活躍する姿を楽しみに見ている方が多いだろう。


しかしこの作品に限っては、主人公は名も無き兵士達。





言わばザクの物語。






そこにこのスピンオフの圧倒的オリジナリティがある。

成功した理由もこれだ。


何故ザクの物語がこれほどに胸を打つのか、その点、少し考察したい。


以下、ネタバレ含みます。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。


分析


最近、スター・ウォーズシリーズを見返しているんですが、やはり凄いですよ。


熱心なファンではなく、というよりも実はずっとピンときていないシリーズだったんですけど。


今、客観的に見られるようになり、ジョージ・ルーカスが作り上げた世界、その創造力に感嘆する。



まじで天才ですよ。




私が最初にスター・ウォーズを見たのは第一作目、今で言うエピソード4なんですが、「特撮ちゃちい!」というのが第一印象でした。


サンダーバードじゃねえか、と。


更に当時の私はジャームッシュやベンダースを崇めており、ルーカス? スピルバーグ? ああ、一般向けの映画を撮る人ね、ぐらいのヤバい人だったので。





ところが今見るとどうだ。


この世界をゼロから創りだしたのかと、感謝のあまり、ひれ伏す思いです。ごめんルーカス!






そして話はこの「ローグ・ワン」についてですが。



主人公は名も無き兵士達。つまりモブ。更にわかりやすく言うとザク。



帝国軍でデス・スターを作った天才科学者マッツ・ミケルセンの娘、フェリシティ・ジョーンズが主人公です。



娘を人質にとられたマッツはいやいやデススターの製作に協力するんですが、こっそり弱点を作り、その秘密を人づてに娘のフェリシティ・ジョーンズに伝える。


ここがミッドポイント。


そこからフェリシティ・ジョーンズが反乱軍に参加し、父親の救出、デス・スターの破壊に動き出す流れです。


いいですね、父親と娘のドラマ、これぞスター・ウォーズという定番の流れです。



何と言っても娘を守るために泣く泣くデス・スターを作ったマッツ、その破壊を娘に託すという流れ、このアイデアは出色ですね。



この「ローグ・ワン」がオリジナルシリーズより好きと言う人が多いのは、ここのアイデアが非常に共感性が高いからでしょう。


更にですよ、父の遺志を継ごうとするフェリシティ・ジョーンズですが、反乱軍の人達にはデス・スターに本当に弱点があるのか、この話こそが帝国軍の罠じゃないのかと糾弾され、信用されません。



そこで単身デス・スターの破壊に行こうとするんですが、そこに反乱軍のディエゴ・ルナと他、数十人が「君を信じる」と言って仲間になるんですよ。

実は前のシーン、父親の救出に向かうシーンで(救出は失敗)、フェリシティ・ジョーンズはディエゴ・ルナを罵倒しています。

ディエゴがマッツを助けるふりをして実は暗殺する気だったのを知ったからなんですが。

「命令だったんだ、仕方ないだろ」
「命令なら何でもするの? たとえ間違っていたとしても」と激しく詰りました。

この時、ディエゴは強く言い返せません。忸怩たる思いだったのでしょう。


その上で今、孤立するフェリシティ・ジョーンズに協力を申し出るシーン、アツいです。

「反乱軍の誰も君を信用しない」
「それはどうもありがとう」


「私は違う」



「…」
「君を信じる。彼らもだ。我々のほとんどが反乱軍のために汚い仕事をしてきた。全て反乱軍のためだった。後ろ暗い任務を終える度に大義のためと自分に言い聞かせた。今ここで諦めれば全てが無意味になる。自分たちのしてきた事が。自分と向き合えなくなる。我々の誰もが。冗談じゃない」



感動的です。自分のアイデンティティのために戦う。感動的です。




ザクにはザクの矜持がある。





自分の意思に反した仕事をやった事のある者なら誰もが共感するだろう。

そう、つまりは観客全員、共感するという事だ。




ここが、この「ローグ・ワン」が傑作になった瞬間です。





更に言うとですね、決死の覚悟でデス・スターの設計図を奪いに行くフェリシティ・ジョーンズと仲間達なんですが、ピンチに陥った時、反乱軍がみんな助けに来るんですよ。




激アツ。




そして見事デス・スターの設計図を手に入れるが、反乱軍に届ける最中、帝国軍の攻撃によってフェリシティ・ジョーンズ達は全滅します。


ここの無常観たまりません。


一つの目的に向かって、仲間達が命を懸けた姿、美しいです。






そしてラスト、フェリシティ・ジョーンズ達が命を懸けて託した設計図のディスクを手にするレイア姫。脱出ポットに乗りこみ、ハイパースペースへジャンプ。



「ディスクの中身は何ですか?」と聞かれ、レイアは答えます。



「希望です」



そしてエピソード4へ。


かっけえ…。



ラストの痺れる台詞、ベスト3にランクインですよ。

ちなみにあとの2作品は「ロボコップ」と「カリオストロの城」です。




あらためてザク達の物語、最高でした。


ジェダイが出ないスター・ウォーズ、はっきり言って異色作です。



しかしこの映画を一瞬にしてスター・ウォーズにしてしまう素晴らしいシーンがクライマックスに出てきます。



そう、この男のライトセーバー無双ですよ。








登場した瞬間の絶望感、たまりません。



直前にエピソード1~3を見ていたのもあって、思わず「アナキン!」と心の中で叫んでしまう。





ジェダイが出ないと書きましたが、ジェダイもどきのドニー・イェンの存在も注目です。


ジェダイのように「フォースと共に」としつこく言っているんですが、武器はライトセーバーじゃなくてただの棒。


ジェダイへの憧れが切ない。


強いんですが、それはあくまで一般人レベルと言うのがこの「ローグ・ワン」を象徴するキャラになっています。






以上です。だから私は感動しました。



あと、この映画のもう一人の主役、Kー2SO。


C3PОとはまた違った形のコメディリリーフ。



その散り際も素晴らしかった!



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