ロングランヒットして、映画ファンの間で話題になった恋愛映画。
期待して見たんだけど、なるほど、ヒットしたのがわかる。
一部の人間には異常な共感を呼ぶだろう。
その一部の人間とは、優しいだけが取り柄のモテない奴だ。
つまりは私だ(※異論反論認めません)
でも男子より、女子の方がはまりそう。
主演の岸井ゆきのさんにどっぷり共感するパターン。
男子は若葉竜也さんに自分を重ねるだろう。
そんなあなたには「500日のサマー」がおすすめです。
ネタバレ度80%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
一応、がっつりネタバレポイントにきたらお知らせします。
粗筋
山田テルコ(岸井ゆきの)は愛する人のためなら仕事も友人も捨てる恋愛体質。
一目惚れした田中マモル(成田凌)に執着するが、その想いは一向に届かない。
分析
原作は角田光代さん。
「八日目の蝉」「紙の月」などの普通の女性を主人公にしたサスペンス作品で有名。
このような片思い恋愛小説を書くイメージはなかったので、ちょっと意外。
原作と映画を比べてみるのも面白そう。
恋愛映画は何より役者の魅力が大事!
その意味で、何かと気になる岸井ゆきのさんは素晴らしいキャスティング。
成田凌さん、深川麻衣さん、若葉竜也さん、江口のりこさん、みんないい!
特に深川麻衣さんは乃木坂アイドル時代と雰囲気ががらりと変わってて最初誰かわからなかった。
リアルな表情で芝居してて、このままいい女優さんになっていきそう!
テルコがマモルと出会い、一目惚れしてセックスするまでが映画の序盤。
その後も微妙な距離感のまま付き合っていく。
だが、テルコがマモルのソックスを無断で綺麗にまとめたのをきっかけに、マモルから一切連絡が来なくなる。
ここまでで開始37分。
何の前情報も入れてなかったので、ここから、どんな恋愛を見せるんだ?と不安になった。
ここからはテルコのマモルへの執着、その片思いを見せていくんだけど、正直、暫くはピンとこなかった。
岸井ゆきのさんのプロモーション映画的な感じかなと。
先日記事にした「初恋のきた道」のパターンだなと。
確かに岸井ゆきのさんは表情がコロコロ変わって可愛いが、それで二時間持つのかと。
しかしそんな心配はこの方が払しょくしてくれます。
いつも主役を食うお芝居モンスターの出現によって。
存在感ヤバイ。
作品が面白くなるのは、このすみれ(江口のりこ)が登場する中盤からだね。
何でもズバズバ言う彼女が毒を吐くのをきっかけに、登場人物たちが変化する。
そしてラストに向けて、彼らが出す答えが切なくも、愛おしい。
そんな映画でした。
はい、ここからがっつりネタバレです!
この作品の魅力は、異性を振り回す側と、振り回される側をしっかりと表現している点にある。
特に振り回す側ね。その無自覚な残酷さ。
振り回される側も。その「存在の耐えられない軽さ」。
マモルはすみれと会いたいがために、テルコを使う。
テルコがどれほど自分を好きかなんて考えてもいない。
しかし終盤、テルコの友達の葉子(深川麻衣)から指摘されて、反省する。
その葉子もまた、自分に好意を寄せる仲原(若葉竜也)を何かと都合よく呼び出している。
妾だった母親に都合のいい時だけ会いに来る父親への反感を持っているが、自分も同じような事をしているとは思っていない。
しかし終盤、テルコに指摘されて激高する。
ここをしっかり描いている点がとてもとても面白い。
愛する人に呼び出され、無下に扱われた経験のある全ての男女が共感するだろう。
テルコや仲原を見て気付く。
こんな思いをした者は、私だけじゃないんだと。
そして救われるんだ。
最後に「自分を好きならもう会うのはやめよう」とマモルに言われ、テルコは「好きなわけないじゃん」と答える。
嘘をついてでも、まだマモルに会いたいから。
マモルは「何だそうなのか」と安心する。
「良かったあ。俺を好きじゃなくて」と。
ここで笑顔を返すテルコの切なさよ。
以上です。だから私は感動しました。
テルコを演じる岸井ゆきのさん、素晴らしかったです、
一歩間違えたら同性の反感を買うキャラクターなのに、共感を呼ぶ絶妙の存在感。
この何処にでもいる感ね。
いないけどな!
しかしふと思ったけど、私、振り回された事ってあったかな。
よく考えたら、振り回してももらえてないな。
すいません、恋愛マスターのような顔をして偉そうにこの映画を語りましたが、実際はスタート地点にも立ってません!誰か!
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