アカデミー作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、主演女優賞の主要五部門受賞の名作サスペンス。
当時は「これがアカデミー賞?」と驚いたけど、見直すと納得の傑作です。
公開時に見た時は特異過ぎて、どう評価していいのか、わからなかった覚えがあります。
ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)の笑顔の印象が強すぎて、これは一体何だったのか?という。
FBI捜査官のクラリス(ジョディ・フォスター)は捜査と言っても、レクターから話を聞きだすだけ。
犯罪者のレクターに何故聞くのかも、よく理由がわからなかった。
何より、猟奇殺人犯のバッファロー・ビルの印象がレクター博士に比べて弱い。
この辺りで消化不良を起こしたのだろう。
しかし犯罪心理学を題材にした作品としてあまりにも有名になった今作。
「見る度に違う感動がある」映画はたくさんあるが、「見る度に評価の上がる作品」は珍しい。
この作品は私にとって、そうゆう稀有な作品です。
ネタバレ度40%。
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
まあ、犯人探しのストーリーはそれほど無いので読んでも見ても大丈夫かな。
この記事を書いている2023年10月現在、U-NEXTでは見放題配信されています。
DVDで観賞したい方は私も利用している宅配レンタルがお勧めです。
分析
FBI研修生のクラリスが、殺人犯のレクター博士の助言を乞いながら、猟奇殺人犯バッファロー・ビルを追うという内容。
まず注目したいのは、冒頭の20分。
緊張感が異常過ぎる。
クラリスのキャラ紹介はほどほどに、レクター博士のキャラ紹介に比重を置いている。
そしてクラリスとレクター博士の息を呑む初対面のシーン。
これほど緊張感のある冒頭20分は映画史上初だと思う。
てか、初登場からこの顔はやばすぎる。
そして犯人探しのサスペンスとしては珍しく、30分過ぎには顔を晒し、その犯行ぶりを見せる猟奇殺人犯バッファロー・ビル。
ここで出すか。
最初に犯人を出すのは例えば「刑事コロンボ」。
中盤に出すのは例えば「セブン」。
この中途半端な時間に出てくること自体、若干、小者感が出ている気がする。
クラリスとレクター博士が中心なのがありあり。
不思議な構成だなと思うんだけど、この「羊たちの沈黙」って原作は三部作の真ん中なんだよね。
だからレクター博士が中心になるのは必然。
何故なら主役だから。
この違和感が、初見の時は強くて、不満が残ったんだけど。
この映画、一言で言うと、この方の異常な存在感を味わう映画です。
更に言うと、バディものとして見るのが一番しっくりくる。
先輩レクターが後輩クラリスに捜査を教えていくという形。
クラリスが捜査して犯人を追い詰めていくサスペンスではなく、レクターが名推理を展開する安楽椅子ものミステリーでもない。
私はそのような定石をなぞる映画じゃないと意識してから、はっきりと凄まじい映画だとわかりました。
ごめんね、頭が固くて!
クライマックス、バッファロー・ビルと対峙するジョディ・フォスターの演技とジョナサン・デミの演出力は圧倒的です。
今回、久しぶりに見て満喫しました。
現在、サスペンス映画では私のベスト1です。
「セブン」を抜いて。
以上です。だから私は感動しました。
やはり続編の「ハンニバル」にもジョディ・フォスターは出てほしかったなあ。
ちなみにこの作品の撮影時、ジョディはジョナサン・デミ監督に、「この作品で一番不安なのはあなたよ」と言ったらしい。
さすが子役から活躍しているジョディ。
怖いです。
まあ、私も「ジョナサン・デミ? 誰?」って感じだったけど。
プレッシャーをはねのけてこの傑作を生みだし、次作の「フィラデルフィア」も成功したジョナサン・デミ、あなたは偉い。
私ならジョディにそんな事言われたら泣いて帰ってますよ。
帰ってからも泣いてます。
おすすめジョナサン・デミ監督作品
○「フィラデルフィア」
「羊たちの沈黙」がまぐれじゃなかったと証明した名作。
ゲイとエイズを題材にした法廷もので、トム・ハンクスとデンゼル・ワシントンの共演は見応えたっぷり!
しかしこの作品以降、ジョナサン・デミ監督は失速し、「一発屋」と言われるようにもなった。
おすすめジョディ・フォスター出演作品
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