不穏なサスペンス映画を得意とするデヴィッド・フィンチャー監督が何故か、フェイスブックの創始者マーク・ザッカーバーグを描き、見事な傑作に。
アーロン・ソーキンの脚本はアカデミー脚色賞を受賞。
マークの成功物語ではなく、人間ドラマ、青春ドラマに振り切っているのが本当に素晴らしいです。
ネタバレ度80%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
分析
この作品の魅力は、何よりジェシー・アイゼンバーグ演じるマーク・ザッカーバーグのキャラクターだ。
はっきり言って、嫌な奴です。
だが起業家として成功するのに良い人である必要は無い。
スティーブ・ジョブスなんかも人間性を批判される事が多かったしね。
だがこの変人ぶり、映画の主人公としては最高だ。

恋人にフラれると自身のブログで詰りまくり、ブラのカップまで書き込む気持ち悪さ。
更には大学の女子生徒全員の画像をハッキングで集め、ネットでセクシー投票を募る傲慢さ、品の無さ。
それが凄いアクセス数を記録してしまうという天才ぶり。
全ては自尊心の高さ、自己顕示欲の強さからなんだけど、人としては終わってる。
この様子を映画開始二十分でテンポ良く見せるフィンチャーの手腕。
そして演じるジェシー・アイゼンバーグの役作りが完璧だ。彼はこの演技でアカデミー主演男優賞にノミネート。

ちなみに最近は監督、脚本家としても高い評価を受けています。頭が良いんだろうな。
映画前半はアンドリュー・ガーフィールド演じるエデュアルド・サベリンとフェイスブックを作り、事業を広げていく様子を描く。
ここに後の裁判の様子を度々挿入していく事で、テンポを調整し、観客の興味を惹き続ける工夫がされています。
上手い。
そして中盤、ミッドポイントでナップスターの創始者ショーン・パーカーが事業に参加するようになって、ストーリーは大きく加速します。
マークはショーンを起業家として崇めているが、エデュアルドから見れば赤の他人でただのハイエナ。
段々と仲違いしていく親友の二人、裂かれていく友情が作品の見所になっている。

この人間関係の変化、テーマにしっかりとフォーカスしているのがこの映画の成功、脚本の見事さだろう。
ナップスターの創始者、ショーン・パーカーを演じるジャスティン・ティンバーレイクの役作りも良い。

胡散臭さしかない。
巨大化していく事業とは逆に、どんどん孤立化していくマークの姿が切ない。
マークのエネルギーは自分を認めない連中への怒り、特に元恋人であるエリカ(ルーニー・マーラ)への未練が大部分を占めている。その描写も非常に秀逸。

まあ、元カノがルーニー・マーラなら未練タラタラになるわな。
ラスト、かつての友人から訴えられ、疲弊したマークはフェイスブックを開き、エリカを検索し、友達申請を送る。
直後、何度も更新ボタンを押す姿、その滑稽さ、皮肉さがこの作品に一段と深みを与えています。

寂しさを感じた夜、元カノ、元カレを検索した覚えのある全ての者の胸を鷲掴みにする素晴らしいラストだ(※当然私もだ)。
フィンチャー映画でお馴染み、トレント・レズナーの音楽も非常に良い。
エンディングで流れるビートルズの「ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン」も面白いですね。
以上です。だから私は感動しました。
こちらが原作です。
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