大好きな映画「ロッキー」。
一作目を書こうかとも思ったんだけど、こちらも素晴らしい続編なので選びました。
実は私はシルヴェスター・スタローンという映画人を信頼、尊敬している。
それは不器用で、生き辛さを体現するキャラクター、「ロッキー」と「ランボー」を生み出したから。
どんなアクション映画を作ろうと、人間ドラマを一番大事にしているのを感じる。
彼の人生も映画同様、どこか不器用だ。そこが好き。
ネタバレ度50%
内容はアポロとの再戦。
勝敗については書いてません。ご安心を。
分析
最初はエイドリアンと結婚、そして妊娠とハッピーなロッキー。
二人が見つめ合って愛を囁き合うシーン。
その台詞が「私に飽きないで」「俺を捨てないでくれ」。
ちょっと待て、何てコンプレックスだらけの二人なんだ!
普通のラブシーンならもっと色っぽい台詞だろう。
だがこれが「ロッキー」。
脚本は一作目と同じくスタローン、作品冒頭からさすがです。
人気者になってCM出演も決まり、わかりやすく散財するロッキー。
しかしCM撮影はカンニングペーパーもろくに読めず、大失敗。
この辺りの描写はたまりませんね。
そして、わかりやすく落ちていきます。
その後の仕事を探す面接でのやり取り。
「前科はありますか?」「自慢できるものはねえ」という台詞も秀逸。
ロッキーの不器用さ、ずれっぷりが見事に表現されてる。いい。
結局、ロッキーはボクシングに復帰、アポロとの再戦を決意します。
しかし妻のエイドリアンは失明の可能性があるロッキーの復帰に大反対。
そのため、ロッキーは練習に全く身が入らず、トレーナーのミッキーに怒鳴りつけられる。
エイドリアンは過度のストレスで早産し、昏睡状態に陥ります。
ロッキーはエイドリアンの側から離れません。
面会時間外は礼拝堂でずっと祈っています。
このあたりの描写は非常に丁寧。
人間ドラマに比重を置く監督スタローンの姿勢を感じます。
ロッキーの祈りが届いたのか、エイドリアンは目を覚ます。
安堵したロッキーは、エイドリアンが望むならボクシングを辞めると告げます。
ここでエイドリアンがロッキーに言います。
「一つお願いがあるの」
「何だ?」
「勝って」
その瞬間、トレーナーのミッキーが叫びます。
「何ボケッとしてんだ、行くぞ!」
あの音楽がかかり、鬼気迫るトレーニング!
たまんねえ…。
どうですか、このトリプルコンボ!
男子はみんな、震えますよ。
観客のテンションを上げるお手本のような展開。
これ以上は無い。
それは昏睡状態のエイドリアン、寝ずに祈り続けるロッキーの姿を執拗に描いているが故。
ぎりぎりまで引いて放たれた矢のよう、興奮は一億倍ですよ!
この矢を引くシーン大事!
ええ、このシーンについてだけ、書きたかったんですよ。満足です。
「ロッキー」で成功した後の主演作がさんざんだったスタローン。
崖っぷちで勝負に出た「ロッキー2」。
負け犬が奮起する「ロッキー」一作目と同様、スタローンの状況とロッキーの姿が見事に被ります。
自己を投影した傑作脚本を二本も書いたスタローン。
脚本家としたら尊敬せざるを得ない。
アポロも体、凄いな。僧帽筋。役者として勝負に出てるのわかる。
以上です。だから私は感動しました。
おすすめシルヴェスター・スタローン出演作品
○「ランボー」
やはり上げないといけないでしょう。
ラスト、悲痛に叫ぶランボーの姿は胸を打つ。