本国で大ヒットを記録した韓国映画。
多くの映画賞を受賞しており、その評価の高さから観賞。
なるほど、面白い!
やはりエンタメとしてまずアイデアが良い。その点について、少し書いてみたい。
ネタバレ度70%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
分析
秀逸なアイデアは、まず主人公のキャラ設定。
盲目の天才鍼医なんだけど、実は見えている。見えないふりをして、世の喧騒から距離を置いている。
見えないふりをしているというだけで、嘘がいつバレるかというサスペンスが発生し、緊張感が増す。
上手いなと思う。しかし感心したのはそれが理由じゃない。
歩けるのに歩けないふりをしているとか、他にも似たようなアイデアの映画はあるからだ。
この主人公のキャラ設定が凄いのは、明るいところだと本当に見えないが、暗いところだと見えるようになるという更なる味付けがある事。
何だこの外連味たっぷりな設定は。
そんなばかなと思うが、実は本当に視覚障害でそのような症状があるらしいです。
そのような病気があると知った監督が、設定に取り入れたとの事。
素晴らしいアイデアだ。監督も思い付いた時、思わずガッツポーズをしただろう。
演者としては非常に難しい設定だが、主演のリュ・ジュンヨルの演技力はしっかりと説得力を持たせている。
そのおかげで目が見えないはずの鍼医が殺人現場を目撃するという素晴らしいサスペンスが生まれた。
そして脚本が上手いのはこれだけじゃない。
主人公が犯行現場から逃走した折に怪我を負い、容疑者にされてしまうという流れも抜群です。
これは「逃亡者」など多くのサスペンス映画で形を変えて繰り返し使用される、面白さが約束された鉄板プロット。
主人公のキャラ設定だけでも面白いのに、ストーリーにも手を抜かず、更なる面白さを追求している。その姿勢が素晴らしい。
この点、邦画では弱いところ。
上質なエンタメを量産する韓国映画の真骨頂を見た思いです。
そしてラストの展開が、安易なハッピーエンドじゃないのも個人的にはお気に入り。
見ざる聞かざるで他人と距離を置いて生きてきた主人公が、クライマックスでは危険を顧みず他人を助ける行動に出るまでに成長する姿も感動的だ。
この傑作を演出したのはアン・テジン監督。脚本も担当している新人監督です。
脚本もさることながら、演出力も素晴らしいです。
主人公が黒幕を知る瞬間、そこでのやりとり、力強い演出はまさに息を呑む。
これで新人かよ。恐ろしい。
撮影当時は51歳だったようです。遅咲きですね、見習いたい。
以上です。だから私は感動しました。
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