類似作がちょっと見つからない、誰が見ても不思議な印象を残す傑作。
やはり巨人ジョン・アーヴィングの原作の魅力が大きいけど、素晴らしいキャスティングと演出が光る。
オープニングのビートルズの音楽と赤ん坊の映像からして独特の世界観が感じられます。
ネタバレ度30%。
未見の方はDVDか配信で!
でもネタバレはほとんど無いので読んでも大丈夫かな。
分析
小説家ガープの一生を描く。
極端なキャラクターたちが衝撃的な事件を展開していく。
まあ、これだけおかしなキャラクターばかりだと、そりゃ事件も起きるわなと感じる。
それほどキャラ造形が見事で、彼らの魅力が全ての映画です。
主人公のガープを演じるのは名優ロビン・ウィリアムズ。
ユーモアのある独特の存在感は唯一無二。
愛情深く、時に激情に任せて無茶をするガープは、この人以外、考えられない。
魅力あるキャラクターたち、その中でも図抜けて魅力的なのがグレン・クローズ演じるガープの母親。
看護士なんだけど、結婚は望んでいないが、子供は欲しい。
そこで病院に運ばれてきた瀕死の兵士が何故か勃起し続けているのを見て、その上に跨り、見事にガープを身籠る。
このぶっ飛んでる個性。
肉欲を敵視し、この自分の半生を書籍にして大ヒット。
活動家としても著名になる。
よくこんなキャラクターを考えたなともはや感心するしかない。
更にはジョン・リスゴー演じる性転換者ね。
ガープたちを支える理解者として、圧倒的な存在感を見せる。
グレン・クローズもジョン・リスゴーもアカデミー助演賞ノミネート。
他にも数々の賞を受賞しました。
納得の名演です。
「多様性」とか、今頃何言ってるんだと言わんばかりの愛すべきキャラクターたち。
この映画、後半は唖然とするような事件の連続だけど、中でもガープの妻、ヘレンの不倫から派生する悲劇のインパクトが絶大。
ここではあえて書きません、未見の方は是非見て確認していただきたい。
男なら思わず悶絶するような、胃がキュッとするような感覚を覚えます。
あらためてアーヴィング、よくこんなの考えるな(笑)。
何処かネジが外れてるとしか思えない。
これだけの個性的なキャラが集まれば、もうそれだけでエンタメ。
プロットを無理に考える必要はありません、彼らが動けば自然とドラマは生まれるのだから。
脚本は何より魅力ある人物を生み出す事が大事なんだと、改めて感じさせてくれます。
しかしこのファンタジーのような独特の浮遊感を感じる現代劇は他に無いですよ。
後半は悲劇の連続なのに、愛情や優しさが感じられて暖かい。
ジョージ・ロイ・ヒル監督の演出が見事です。
「明日に向って撃て!」「スティング」などの名作群とは一味違う、肩の力の抜けた感じが心地良い。
悲しみと可笑しみが同居する見事な人間ドラマです。
以上です。だから私は感動しました。
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