シリーズ化されてるけど、やはり一作目の完成度は図抜けていて、文句無く面白い。
クリント・イーストウッド演じるハリー刑事はこの後のアウトロー刑事全ての雛形だろう、あの時代のカッコよさが詰まってます。
ネタバレ度90%
未見の方はDVDか配信で! ネタバレ上等な方はお進みください。
この記事を書いている2023年10月現在、U-NEXTでは見放題配信されています。
DVDで観賞したい方は私も利用している宅配レンタルがお勧めです。
分析
冒頭30分はハリー刑事のキャラ紹介にほとんどの時間を割いているけど、そのアウトローぶりがやはり痛快です。
いきなり強盗の犯行現場に出くわし、ハンバーガーを頬張りながらの銃撃戦。
複数の犯人にリボルバー一丁で対抗するんだけど、「これは世界一強力な拳銃だ」という台詞と共に、彼の持つスミス&ウェッソンM29への憧れが男子は募る。
銃撃戦の末、犯人を追い詰めて、まだ一発残っているかどうかを尋ねる名シーン、刑事としての型破りっぷりを見せつけて最高です。
その後、ビルから飛び降りようとする一般人を自らゴンドラに乗って助けに行くシーンがあります。
本編のストーリーには関係無いんだけど、「お前が死のうが知ったこっちゃない」とのたまうハリーに更に痺れる。
刑事が自殺志願者を説得するシーンは色んな映画やドラマで見ますが、それはやはりこの作品の影響だろう。
キャラ紹介にはうってつけで、「リーサルウェポン」のメル・ギブソンのキャラもその型破りっぷりを紹介するのに使ってました。
この前半30分だけでも名シーンが多くて、見事です。
そして今回、ハリーと対決するのは連続殺人犯のサソリ。
有名なゾディアックをモデルにしているらしく、そのサイコパスぶりはアンドリュー・ロビンソンの鬼気迫る演技もあって見事な存在感を見せています。
冒頭、10万ドルを市長に要求し、断れば一日一人、市民を殺していくという脅迫が何より猟奇的で◎。
誰でも人質になりうるというのが観客の恐怖心を刺激して、当時だと猶、新鮮です。
このサソリ、犯行現場で簡単に見つかったりして、あまり頭良さそうには見えないんだけど、ヤバさは十分に感じられます。
そして金の受け渡しになるんだけど、金の入った鞄を持ったハリーに尾行がついていないか確かめるため、公衆電話を使って町中を走らせる。
走っている間、ハリーはチンピラに絡まれたり、ゲイに誘われたり。
色々と邪魔が入りながら、疲労困憊でも犯人逮捕のため、走り続ける。
これだけでどれだけ暴力的な刑事でも、観客は共感せざるを得ない。
このプロットも色んな映画やドラマで使われています、素晴らしいアイデアだ。
そしてハリーはこの金をサソリに渡し、結果、逃げられるんですが、足に傷を負わせる事に成功。
その後、サソリは病院で治療を受け、その病院からのタレコミを受けて、ハリーが追い詰めます。
この辺りのサソリ、危機意識が低すぎるようにも見えるが、まあ、それはご愛敬。
フットボール場で命乞いするサソリの傷口をぐりぐりと踏みつけるハリー、何処までも引いていくカメラのロングカット、やるなドン・シーゲル監督、最高です。
この逮捕まで、映画開始70分。
映画はあと残り30分。
犯人を逮捕したのに、ここからどう話を転がすんだろう?と思っていたら、素晴らしい展開を見せます。
何とハリー刑事の法律無視の捜査のため、全ての証拠は却下、サソリは釈放されます。
激昂するハリーはもちろん毒づきます。
「奴はまた人を殺しますよ」
「どうしてわかる?」
「奴の趣味です」
いい。
そしてサソリは自らお金を払って他人に自分を殴らせて、病院に担ぎ込まれる。
その怪我をハリーにやられたとマスコミに告げる事で、ハリーを追い込みます。
何て上手い展開だ!
調子に乗ったサソリは酒屋で銃と金を強奪し、更にはスクールバスをジャックして市長に金を要求。
ここまで来るともはや犯罪のデパート、観客は満腹です。
サソリ、凄いよ。あなたの猛毒に私は痺れがおさまらない。
そこで孤立無援となったハリーはサソリの元へ。
ハリーが何故サソリの居場所がわかったのかについてはツッコミ禁止。
激しい銃撃戦の後、冒頭にあった弾が残っているかどうかのやり取りを再び見せて、観客にカタルシスを与えて、終わります。
後半、一気に畳みかけてくる興奮の30分。
ドン・シーゲル監督のテンポの良い演出が冴えわたります。
名作だな。
以上です。だから私は感動しました。
日本人男子が憧れる拳銃はこのスミス&ウェッソンM29、そして冴羽遼のコルトパイソンの二つが不動です。
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