「サマーフィルムにのって(2021)」感想。まれに見る青さ、これこそ青春!

邦画
引用元 映画.com

ラストの展開に唖然とした(もちろん良い意味で!)作品です。


映画人の理想の青春を描いた、ど直球青春映画。

去年、ミニシアター系で上映されてスマッシュヒットした作品です。


ネタバレ度90%。
未見の方はUターン!ネタバレ上等な方は進んでください!


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粗筋


時代劇オタクの女子高生、ハダシ(伊藤万理華)が文化祭に向けて、仲間たちと共に映画製作を開始する!


分析


内容は仲間たちとの映画製作に、淡い恋愛が絡むという王道ストーリー。

役者陣の役名もハダシ、ビート板、ブルーハワイなど、青春映画をやり切るという覚悟を感じる。

おじさんが見ると、若干恥ずかしくなるぐらいど真ん中ストレートです。



だがそれがいい。



物語は主演俳優探し、仲間集め、そして映画撮影と進みます。


引用元 映画.com



全編通して、主演の伊藤万理華さんの瑞々しい演技が光ります。
元乃木坂46らしいんだけど、すいません、不勉強のため、知りませんでした。

しかし元アイドルとは思えない、思い切りのいい演技に驚きました。
足を開いてたり、猫背で挙動不審な感じ、ころころ変わる表情。
逆にどんなアイドルだったのか、気になるくらいです。


あとビート板役の河合優実さん、眼鏡女子でオタク気質の女の子を演じてるんだけど、他の作品で見た時と全然印象違う!
「ちょっと思い出しただけ」ではダンサー役で凛とした演技を披露しています。
出演作品目白押しなので、注目したいです。


劇中で主演をつとめる凛太郎役の金子大地さんも大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」でいい役で出演してます。

彼らの活躍で今後もっと注目される作品になりそうです。


で、ストーリーは文化祭での上映、クライマックスに向かいます。


ハダシは製作した時代劇、ラストシーンの対決をどうするか、直前まで迷っていたんですが、決着をつけないラストに決めました。
と同時に、主演俳優、凛太郎への恋心も封印する事に決めました。


映画の上映は成功するのか、ハダシと凛太郎の恋の行方は?
観客の期待は高まります。


ちなみに私は見ながら、上映は成功し、恋愛もいい感じに終わる流れかなと予想してました。
ここまで内容は直球だし、爽やかなハッピーエンドだろうなと。




ところがです。



はい、ここからがっつりネタバレです。気をつけて!



文化祭の上映中。
「このラストシーンは違う!」と、いきなり上映を中止するハダシ。

これからラストシーンを撮影すると言い出し、
観客もいる中、体育館で撮影を開始します。衣装は制服のまま。


え?




ちょっと、これは予想外。


ベタなところでは、上映している映画のラストに、恋愛に絡めた軽い仕掛けがあるような展開かなあ、とか考えてました。


いきなり撮影? そう来たか。



そして主演二人の対決を撮影します。
しっかりと決着をつけるラストの撮影に入るのかと思いきや、敵役(ダディボーイ)が「このラストシーンを演じるのは俺じゃない」と言い、刀(箒)をハダシに渡します。
ハダシは刀(箒)を受け取り、凛太郎と対峙します。





ええ!?



更には他の生徒たちも刀(箒)を持ち、ハダシに襲い掛かります。
ハダシは見事な殺陣でバッタバッタと生徒たちを薙ぎ倒し、凛太郎の前へ。そして告白。
二人は映画と恋の決着をつけるため、刀を構え、振り上げます!

ここで終わる。



マジか。



エンドクレジットの折、口を開けて、動けなくなりました。
何かよくわからんけど、凄いなこれ…という感想。



この展開は全く読めなかった。
リアリティとか、フィクションとか、そんな単語の意味さえもうわからなくなる。


これぞ青春映画、ていうか、これは、監督が、脚本家が、スタッフ全員が青春している!


普通、脚本の段階で頭の固いおじさんわたしが誰か、「この展開はどうなの?」とグチグチ言うと思う。

押し切ってみんなを巻き込んで撮り切ってるところが青春してます。




それが凄い。



絶対にもう私には書けない脚本。思わず窓から遠くを見つめてしまいます。
珍しくオーディオコメンタリーまで見てしまいましたよ。



以上です。だから私は感動しました。


余談ですが、昔、私は専門学校で自主映画を作ってました。

スマホで撮影している事に隔世の感がありますね。羨ましい。

八ミリフィルムで撮影していた当時は、確か3分20秒のフィルムを現像するのに八千円ぐらいかかってました(全て自腹、必死にバイト!)。

もっと映画を撮る若者が増えて、たくさん自主制作の撮影現場に出くわす事があればいいなと思います。その光景が珍しいものじゃなく、普通になればいいなと。



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