伝説の始まり。
そのアニメシリーズを総集編的にまとめた三部作の一作目です。
空前のガンプラブーム。
お宝的な1000円のGアーマー目当てに、補導されないか、恐る恐る隣の学区まで自転車で走った思い出が忘れられない。
ネタバレ度50%
未見の方はDVDか配信で!ネタバレ上等な方はお進みください。
分析
このアニメの魅力は色々あるが、先ずは子供向けとは思えない、リアルな世界観、設定に度肝を抜かれる。
人類が宇宙に住み始めて79年、地球から一番遠いスペースコロニー、サイド3がジオン公国と名乗り、独立を宣言。地球連邦軍との戦争が始まる。
出だしの設定から痺れますね。
そしてこのスペースコロニーの造形が見事だ。本当に宇宙にこんなものができるのかと、子供心に胸が躍った。
科学的な裏付けが売りのクリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」にも全く同じスペースコロニーが登場してました。
その30年以上も前に子供向けアニメで描いている事が素直に凄い。
そして戦場においてレーダーを無効化するミノフスキー粒子なるものの設定が斬新すぎる。
そのために接近戦で戦うロボットが戦場において最も有効な武器になったという説得力が凄い。
このアニメ以前の、ただ巨大ロボットが戦うだけのアニメとは一線を画し過ぎている。
更には、ガンダムというアニメを見て初めて知った、地球を包む大気圏という概念。
高温で溶けていくザクを見た時はこんな事があるのかと、宇宙の不思議さ、大きさに感動した。
まあ、空気の無い宇宙空間で発砲しているザクマシンガンとか、地上でこのデザインのホワイトベースが何故飛べるのかとか、色々と「ん?」と思わせる部分もあるが、そこはもう、細けえ事はいいんだよ精神で。
当時は巨大ロボットアニメと言えば鉄人28号、マジンガーZなど、バトル重視の子供向けというイメージでした。
そんな時代に呆れるほど逸脱したこのリアル指向。
富野監督、尖り過ぎです。最高です。
実際、最初の放映時は「難解」と言われ、評判は悪かったらしい。
徐々に口コミで面白さが伝わり、再放映時に注目され、ガンプラで一大ブームになる流れ。
ネットなど無い時代にこのようなムーブメントは奇跡に思える。
そして更に作品の魅力を語るなら、豊潤な人間ドラマだ。
ガンダムを操縦する主人公のアムロ・レイは、機械オタクの甘ったれ少年。

この設定、本当に子供向けアニメの主人公ですか?
当時としては主人公と言えば正義感を絵に描いたような明るい少年というイメージ。そこから見事に真逆です。
そしてこのアムロが初めて人を殺す折の恐怖、戦う事への恐怖をしっかり描いているのが何より秀逸。
そしてシリーズ屈指の人気を誇るシャア・アズナブル。
ジオン軍のエースパイロット的存在ながら、ジオン公国を牛耳るザビ家打倒を誓っているというかなり複雑なキャラ設定。
更に妹のセイラ・マスが敵である地球連邦軍にいて、戦場で対峙するという皮肉。
この兄妹のドラマ、葛藤も作品に深みを与えています。

「赤い彗星」という異名、更に素顔を見せないというのも当時のアニメ好きキッズの心を刺激します。
アムロたちが乗っている宇宙戦艦ホワイトベースは緊急的にスペースコロニーを脱出したため、軍人はほとんどおらず、救助した民間人ばかりというのもポイント。
この素人集団がジオン軍の精鋭たちを次々と倒していくうち、ニュータイプ軍団と言われ、その戦果から地球連邦軍のおとり役までやらされる流れ、観客としては否が応でも共感せずにはいられない。
ホワイトベースの面々も個性豊かで、愛すべき者ばかり。
中でもこの素人集団を率いる艦長のブライト・ノアが個人的には好きですね。

シリーズが進む毎に段々とコメディリリーフ的立ち位置になっていきますが、さすがにこのファーストガンダムでは尖っています。
中でも名台詞が多いです。
甘ったれのアムロを殴り、「殴って何が悪い! 殴られずに一人前になった者などいない!」と言い放つ。
今なら一発アウトです。
でもしょうがないです、まだ19歳なんですから。
そして更に魅力を言うなら、ガンダムのロボット造形、バトルの魅力だ。
この劇場版一作目ではアムロVSシャアのファーストバトル、ガンダムVSザクがやはりテンション上がります。
特に一つ目のザクのデザインが秀逸。

このシャア専用ザクの1/60スケールのプラモデルを買った時の感動は忘れられない。上手く組み立てられず、泣いた思い出も。
そしてこの劇場版一作目、脚本としてはアムロが地球で母親と再会するシーンを終盤に持ってきているのがドラマとして非常に良いですね。
人に銃を向ける我が子を見て、失望する母親。
まだ母親に甘えたい子供達が見るアニメでこの苦みのある描写、富野監督の本気が見える。
映画の終盤には私の愛するランバ・ラルが登場。
次の二作目に跨いでアムロと名勝負を繰り広げます。
私のはこのランバ・ラルに男の生き様を教えてもらったと言っても過言ではありません。
風格からして違います。

設定では35歳です。いまや年下かよ!
この劇場版を見たのは幼少時代、近所の市民会館で三部作一挙上映をした折以来です。
一度のチケットで一日中映画館にいられた時代、三部作を一気に見たのも良い思い出。懐かしいです。
大人になって見てもあまりに高い完成度、いまだロボットアニメの最高峰である事に驚きます。更に劇場版だとアニメシリーズのような作画崩壊、使い回しも見られず、安心です。
以上です。だから私は感動しました。
続けて劇場版二作目も見ました。
ダイジェスト感が強いですが、ランバ・ラルが乗るグフ、黒い三連星のドム、シャア専用ズゴックとのバトル、そしてマチルダ、リュウ、ミハルの死と名場面のオンパレード。
ガンダムを初めて見る人はテンポが速すぎてのれないかもしれません、ご注意を。




そして三作目も観賞。
これは作画でかなり新カットが見られます。
アニメシリーズと違ってハヤトがガンキャノンに乗っていたり、コアブースターが活躍したりと、変更点もあって新鮮です。
このハヤト・コバヤシが負傷して戦線から退場するんですが、その折の悔し泣きにグッときますよ。
他にも新キャラのスレッガー・ロウが魅せてくれます。敵ながらドズルもあっぱれ。
感動のラストも何度見てもいい。



万博もガンダムが盛り上げているそうな。見に行きたい!

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